2018年6月19日火曜日

ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ / 序章 (p14~16)

 国際協力とは介入であるーーー
 介入の、その先に描く「理想」とはどのような姿なのか。

今回は『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』の序章、
14ページから16ページを公開します。

 *

改めて言うまでもないが、中田と私は、長年、いわゆる国際協力という分野で仕事を続けてきた。中田流の言い方をするなら、「援助屋」というやつである。中田が常に言うように、この「援助屋」という表現には、多少の誇りと自嘲(じちょう)がない交ぜになっている。誇りの部分は、人類社会の理想に向かって困難な状況の中で仕事をしているという自負であり、そして自嘲の部分は、果たしてそれが何らかの成果をもたらし、目標とするものに多少とも近づいているのかという根本的な疑問がちらつく、その自分の心の在り様の部分である。

だが、「誇り」の部分も人類社会の理想とは何だと正面切って問われれば、ぐらつかざるをえない。畢竟〈ひっきょう)、人類社会の理想とは、具体的にどんな社会を将来作ろうとしているのかということであり、その具体的な社会像が描けない限り、単なるお題目にすぎないからだ。われわれの自嘲の部分は、まさにそこにある。そして、このことこそ私たちの前著『途上国の人々との話し方― 国際協力メタファシリテーションの手法』では書けなかった部分だ。

国際協力とは、相手側の状況への介入である。特に、私たちのように、農漁村、都市のスラムなど、コミュニティ単位で係わることが多い場合、相手が現在置かれている状況を変えるという方向で係わる。もっと端的に言えば介入するわけだから、大いにこちらの価値観を持ち込むことになる。その場合、自分たちがどのような未来をめざし、それがどのような価値観に基づいているのかよくわからないなど、これはもう笑うしかない。

私たちは、村に代表されるコミュニティ(共同体)が抱える課題を解決する。解決する主体はコミュニティであり、私たちはそれを支援するという建前になっている。だが実際は、課題の設定もその解決方法も私たちが持ち込むものであり、したがって、文化も生活習慣も、そしてそれぞれ抱える課題も違うはずの世界各地の村で、どこも似たようなプロジェクト、いやまったく同じ内容のプロジェクトを十年一日のごとく行っている。

その代表的な例が、農村で行われている貧困削減のための収入向上プロジェクトであり、大方は、何か商品作物を育てて売ろうというものである。その商品作物は、当該地域でもとから産出されていたものは希で、外から持ち込まれたものが多い。

外から持ち込むということは、すでにその作物を消費しているところを市場(しじょう)とするのであれば、新たにその市場に参入するということであり、当然ながら激しい競争に最初から晒されることになる。品質、流通経路などあらゆる面を開拓し、既存のシェアに食い込んでいかなければならない。


また、その作物を食べる習慣がなかったところを市場とする場合、消費者が日常的にその作物を消費するようにする、つまり市場を作り出す必要がある。また、作り出したところで、ある程度のボリュームになれば投機の対象になる。砂糖、カカオ、綿花、麻などの市場価格がどのように推移し、それに生産農家がどれほど翻弄されているかを見れば、それは明らかだ。それでなくとも消費者は飽きやすく、ある年もてはやされたものが翌年には見向きもされないなどはよくあることだ。

いずれにせよ、途上国の伝統的な村には、難題という表現でさえ控えめと言うほかない取り組みだ。単に商品作物を育てるという本来の農民としての取り組みのほかに、市場調査、商品の販売促進、コスト計算など、簡単に言えば会社の経営のようなこともやらなければならない。これを、長い時間をかけて学んでいけばできないことはないだろう。だが、プロジェクトの期間は通常三年から五年だ。プロジェクトが終了して外部者の投入(金銭的な投資のほか、技術的指導なども含む)がなくなった途端、作物の生産そのものがいつの間にか終わってしまうなどという例は枚挙に遑(いとま)がない。

(『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』p14~16 より)




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2018年6月12日火曜日

途上国の子どもたちが学校に行けない 「貧困」ではない理由

ムラのミライで三度にわたって開かれている、私たちインターン生に、ビジネスマナー等を教えていただくインターンシップ研修の時間の中で、ムラのミライ代表理事の中田さんに、メタファシリテーションの講座を開いていただいています。今回は、中田さんの過去の実話に基づくという、「バングラデシュの農村でのスクールプロジェクト」のケーススタディを詳しく解説していただいた際のお話を書きたいと思います。



ケーススタディの内容は、バングラデシュの農村で、子どもたちの家に通学状況の聞き取り調査に行った話で、インターン生三人それぞれ問題点を分析し、事前にメールでお送りしていました。

メタファシリテーションを学んだことのある方ならご存知の通り、子どもたちが学校に行けない本当の理由(事実)を聞くためには、相手の考えや言い訳を引き出してしまう「なぜ」は決して使ってはいけません。スタッフは、「なぜ学校に行かないのか」と聞く代わりにどう聞けばよかったのかを、インターン生同士で話し合いました。
「今日は学校に行きましたか?」「今週は何日間学校に行きましたか?」など、まず子どもたちの通学状況を聞くための質問を、私たちは考えました。

しかし、中田さんは、
「お子さんは今どこにいますか?」と聞いたといいます。

私たちは、事実を聞いているつもりで、実は、子どもは学校に行っていないのではないか、(学校に行くのが当たり前だ)という思い込み、学校を前提とした仮説を、既に質問に含めてしまっていたのです。それに対して、「今どこ?」という質問は、最も基本的な事実を聞くものでした。

母:「羊を連れて、野原で草を食べさせています。」
中田さん:「誰がそうしろと言ったのですか?」
母:「夫です。」

次に中田さんは、「誰が」指示したか、という大事な要素を聞きました。「誰が」を聞くことは、今まで知り得なかった新しい情報の存在を知るためにとても大切な質問です。

次に、なぜご主人が子どもに羊を連れて野原に行けと言ったのかと頭によぎっても、そう聞いてはいけません。相手からの答えを「待つ」のです。
中田さん:「そうですか、ご主人がそう言ったのですね。」

それ以上中田さんは何も言わず、母親からの言葉を待ちました。
母:「私たちの村はイスラム教の信仰、保守的な考えが強く、女の子が学校に行くことに賛成でない男性がとても多く、夫もそうなのです。」

これが、「なぜ」と尋ねたときには知ることができなかった答えでした。母親に「なぜ」と聞くことは、母親の考えを聞くことで、事実とはいえません。子どもたちが今「どこ」にいて、「何」をしていて、「誰の」指示なのか、事実から得る情報でなければ、何が必要なのかは見えてきません。

中田さんの解説を聞いた後、私は、事実質問をしているつもりでも、自分の仮説を含めてしまっていたことに気付きました。

また、事実質問をして状況が少しずつ明らかになっていく中で、気づき、本当の事実を述べるのは、話し手自身です。
私は、今までを振り返って、相手の気づきを待たず自分の考えを言ってしまうことが何度あっただろうと思いました。私の視点もアドバイスも、一つの参考にはなっても、結局はその人自身の気付きでなければ何もその人の行動には変化は起きません。自分が言いたいから、というだけでは、相手の本音も本気も引き出せないんだと、強く思いました。

知らず知らずのうちの思い込みに気付きを与えてくれる、ムラのミライの環境に本当に感謝です!

(笠見友香 ムラのミライ インターン)

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ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ / 序章 (p12~14)


常にのどに小さな骨が引っかかっているような違和感---

四半世紀をかけて日本から途上国にまたがって多くの村々を目にしてきた著者2人。
彼らが感じてきた違和感の正体を解き明かすべくめぐらされた思索の集大成が
この『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』です。

前回に引き続き、序章12ページから14ページまで公開します。


 *


私と中田は、この四半世紀近くを、いわゆる途上国の農村や都市のスラムと係わってきた。インド、インドネシア、ネパール、ラオス、セネガル、イラン、アフガニスタン、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュと国名を挙げていくだけでも、いったいいくつの村を訪れたのか覚えていない。その中でも、鮮やかに記憶に残っている村もあれば、行ったことさえ覚えていない村もある。正確に言えば、私が覚えていないのだから、人に指摘されて、そんな村に行ったこともあったのかと思うだけの村だ。一方日本では、個人的な係わりがあった愛媛県、山梨県、兵庫県、高知県、そして岐阜県北部のいくつかの村しか知らない。それでも、私たちが不思議に思うのは、日本であろうと途上国の村であろうと、文化やその他諸々の違いを超えて、同じ運命を辿ろうとしているとしか思えないことだ。

 それは、冒頭のエピソードに描いた陶器からプラスチックへの移り変わりに象徴されるものに、私が、常に喉に小さな骨が引っかかっているような違和感を覚え続けていたことに関係があるようだ。そして、その違和感が何によって来たるものなのか、それがわからないことによる居心地の悪さとも関係があるようだ。ただ、そのことは長年の宿題を棚の隅に放り出したままのように、まともに考えないようにしていた、というより、何をどう考えて良いのかわからなかったというほうが正直だ。

ところが、転機が訪れた。それは、中田が私の途上国の農村での仕事ぶりを参考に、実践的な優れた方法論を築き上げたことによる。その方法論という具体的な武器を手に入れたことで、この10年ほど、中田と私二人でその方法論を現場でさらに練り上げるという営みを続けてきた。それはまた、その方法論を通して私たちに新たな視野、というより私たちの思考にある種の風通しの良さをもたらす年月でもあった。そして、私がこの年月「喉に引っかかっていた小骨」について、それが何であったかを明らかにするための、十全とは言えないまでもほぼ十分な経験を積むことができた年月でもあった。



ちょうどそのようなとき、中田が、そのような試みを一気に後押しするような思考の枠組みを文章にした。その後押しを受け、私も長年の疑問に基づく思索を文章にした。この本は、そのような私たちの試みを形にしたものだ。ある意味、謎解きではあるが、そもそも、いったい何が謎なのか、何が「喉に引っかかっている」のか、私にもやもやしたものをもたらしているのか、そのことから中田は本書で解き明かしている。私は、中田が解き明かしたことが何を具体的にもたらしているのか、私がこの四半世紀、私の母国である日本と途上国を行き来することで理解できたことを書こうとしている。

したがって、基本は、あくまでも私と中田のこれまで体験してきた、いわゆる開発途上国の村や都市を通して、そして私たちが日々暮らす日本で、私たちが理解できた範囲のことだ。だから、村に関しては農村、しかも主に私が最も接することの多かった南インドの小さな山村にまつわる体験が基になっている。そういう意味では、私たちの知見の及ぶ範囲などたかがしれている。

この本は、学術的な本ではない。あくまでも、私たちの体験に基づいた村との具体的な係わりを基にした思索であり、これからどう私たちは生きていくのかの、実践的な展望だ。果たして本書がそうなっているかどうかは、読者の判断にゆだねるしかない。

(『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』序章 P12~14より)



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2018年6月8日金曜日

空っぽ会議のもどかしい経験

アイタタタ…
これは私が「途上国の人々との話し方」を読み進めている時に思わず出そうになった心の声です。

以下、「途上国の人々との話し方」より一部抜粋;

…仲間同士のうわさ話や真面目な会議など、他者同士のやり取りを第三者的に観察するよう心がけた。すると、最初に誰かが、事実に基づかないがもっともらしく聞こえる「考え」や「意見」などを語り始め、今度はそれを受けて他の誰かが賛同したり反論したりするが、これまた自分の考えを語っているにすぎないというパターンがあまりに多いことに気がついた。…パーセプションとパーセプションの応酬が華々しく始まり、地に足のつかない話し合いが果てしなく続くことになる。…このような上滑りするやり取り、抽象的で観念的、実りのない議論のための議論を、「空中戦」と呼ぶ。それに対して、地に足の着いたやり取りを「地上戦」と呼ぶ…つまり、常に事実に基づいて進められるやり取りである。

(「途上国の人々との話し方」pp40より)

アイタタタ…アイタタタ…
すぐに思い当たる光景が浮かんできました。

「何か改善していきたい点はありますか?」
皆さんが一度は聞いたことのある質問かもしれません。
私も何度か大学や委員会のミーティングで耳にしたことがあります。
例えば、学期初めの活動方針に関する会議に収集された時。
この問いを受けても誰も発言する人はいません。何か言わなければ、と焦った私は「空中戦」ファイターになり、問題らしきこと、にどことなく聞こえる過去の経験をフル装備。そして、数撃ちゃ当たる方式で自分の言いたいことばかり出てくるマシンガンを口に設置して、いざ「話し合い」に挑み始めました。

-役割分担を変えなければ一部の人の負担になっているのではないか
-継続のために、新規参加者を募っていかなければならないのではないか

などなど…これらは、ただの思い付きです。

地上戦にするならば、例えば「課題について誰かに話したことがありますか?」と聞くことが出来るかもしれません。
もしミーティングの参加者であれば「私は○○の改善のために△△をしました。皆さん他に取り組まれたことはありますか?」と返すことで、装備をつけずに、空中戦に巻き込まれずに済んだかもしれません。

本音を聞き出しリアルを見つめるためには、装備もマシンガンも取り払った丸裸の状態にならねば、と気付くことが出来ました。そして、装備に取って代わる道具を、メタファシリテーションの技術を身につけられるよう、もっともっと学んでいきたいです。





(野片真美 ムラのミライ インターン)


 

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2018年6月1日金曜日

子育て×メタファシ講座レビュー後編:参加者の声「困っていない本人に行動をさせる方法ってあるの?」

ムラのミライのメタファシリテーションの講座には何度も参加しています。最初は力んで話す相手の「問題解決」の糸口を導き出そう!などと思っていましたが。繰り返す内にそんな力も抜け、今では楽に会話の中にメタファシリテーションを取り入れられるようになってきました。それでも、いつもうまくいくわけでなく、試行錯誤の連続です。

我が家の「困りごと」を講座でシェア
4月のステップアップ講座では、私の困りごと「3年生のわが子(T)がパジャマを片付けらない」を課題に、参加者みんなで解決法を探りました。その中で「T君が一人でできることはあるの?」との質問がありました。思い返してみると、Tは晩御飯のときのテーブルの片付けとお箸等を並べることに関しては自主的にやっています。それが、パジャマとなるとできない…。もしかして、夕飯の用意はルーチンになっていのではないか、それならパジャマもルーチンにすればいいのでは?という仮説に行き当たりました。

パジャマ問題の根本的な問題は?
では、どうすればいいのか…。参加者からは、パジャマの片付け場所が定まっていないのか、それとも服を着がえる場所が定まっていないのか、そもそもパジャマを片付けないと本人が困るという意識がないのかなど次々に質問が出ました。たしかに、夕飯時にテーブルを片付けないと夕飯にありつけないので、片付けのモチベーションは、晩御飯そのもの。それとは違い、パジャマは放置しても本人は困らないので、片付ける気も起らないのではないか。

困っていない本人に行動をさせる方法ってあるの?
 話を進めていくと、参加者の一人が「片付けたらご褒美をあげたら?」と提案してくれました。子どもにご褒美を与えるやり方は単純だけれど、本当に効果があるのかどうか…という私に対して、講師からは「本人は問題だと思っていなくても、課題を提示して一緒に解決しようと促すことで、本人のやる気が出るものです。解決法を導きだしたのは「自分」だという意識が芽生えたら行動を起こしますよ」と助言がありました。そこで、Tが以前から大好きなシール貼りをご褒美にすることにしました。

シール一枚で嬉々としてパジャマを片付けるT
 家に帰って話をしてみると、想像通り!想像以上!にシールを貼るということに興味を持ち、すぐにシールの台紙を自分で描いてくれました。そして、翌朝…。起きて来て、真っ先にパジャマを片付けて、早速シールを台紙に貼っていました。そこから、毎日、毎日、パジャマ片付けは続きました。時に忘れることがありましたが、私が「今日はシール貼ったの?」というだけで、「あ!」という顔をしてそそくさとパジャマを片付けてくれます。なんともまぁ。シール作戦をするまでは、「パジャマを片付けなさい!」「捨てるよ!」と怒りモードのことも多かった私でしたが、あれから2か月間、一度も声を張り上げていません。

そして、この原稿を書きながら、シールの台紙を見てみました。あれれ、2か月経っているはずが21日までしかシールがない! 今となっては、シールを貼ることがモチベーションではなくて、きちんとパジャマ片付けがルーチンになっているようです。すごい! さて、私も欲が出てきました。次は「パジャマをたたんで、ボックスに片付ける」という課題を解決できるかな~。シールではないご褒美が必要かな。何か考えてみたいと思います。
メタファシリテーション、楽しい!

(大和 陽子 a little)
*ムラのミライでは、a littleという兵庫県西宮市にある家事・子育て支援の団体(会員制)と一緒に、2017年7月、10月、2018年3月とメタファシリテーションを子育て中の方にご紹介する講座を開催しました。2018年4月からは、a littleとムラのミライのコラボレーションで、「女性の健やかな心と体サポートプロジェクト」を3年間の予定で始まっています。
*a little ホームページhttp://alittle.sakura.ne.jp/wp/


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2018年5月29日火曜日

子育て×メタファシ講座レビュー前編:参加者のやりとり「家族にイライラせず、行動変化を促すには?」

2017年度から始まった助け合うための子育てコミュニケーション講座。過去3回の講座参加者を対象に、ステップアップ講座を開催しました。
講座では、メタファシリテーション手法の復習や事実質問をペアで練習したあと、参加者に、最近「何で○○しないの?」と家族に言ったお話を聞いてみました。

【講師からの質問】
講師: 最近、「何で○○しないの?」、「何で○○したの?」と家族に使ったことはありますか?
参加者A(以下A): あります、あります!
講師: 何て言いましたか?
A: 息子に「何で、洋服片付けないの?!」って毎日言っています。
講師: 今朝もですか?
A: はい。
講師: 昨日もですか?
A: はい毎日。やるまで待っていたんですが、つい言ってしまいました。相手も嫌な気持ちになるって分かっているんですけど我慢できなくて。
講師: そうなんですね。「何で〜しないの?!」と言うと相手の自己肯定感が下がるだけではなく、『何であんな言い方しちゃったんだろう・・・』と自分の自己肯定感も下がります。
メタファシリテーションを使って、この下げ合いっこをやめることができます。
---

さて、最近みなさんも「何で片づけしないの?」とご家族に言ったり、言われたりしたことはありましたか?私もよく家族に使ってしまいます。でも、お互いに自己肯定感が下がるばかりか、相手が「物を片付ける」という習慣も身に付かないですよね。
そこで、講座では、Aさんの息子さんが自分から洋服を片付けるようになるには、息子さんにどんな事実質問ができるかを考え、Aさんには息子さんとして答えてもらいました。
みなさんも一緒に、どんな質問をすると「洋服を片づけたくなるのか」を考えてみて下さい。


【参加者からの質問→参加者Aさんの回答】
・いつ着替えましたか?→朝起きてすぐ。脱いだパジャマはそのままで、洗面所に片付けてと言うと片付けました。
・片付けて欲しいのはパジャマなんですね。片付け場所は決まっていますか?→はい、洗面所です。
・今朝どこでパジャマを脱ぎましたか?→リビング
・今朝どこから洋服を取ってきて、着替えましたか?→自分の部屋から洋服を取ってきました。寝室など着替え場所は決まっていません。
・洋服はいつ選びましたか?→今日は朝選びましたが、なぜか前日に用意している時もあります。
・他に任せていること(お手伝い)は何ですか?→夕飯後にお皿を運ぶのと、夕飯前に机の上を片付けて家族分のお箸を並べます。
講師: 成功事例を聞くといいですね、ヒントがあるかもしれません。

・今朝はパジャマを畳みましたか?→畳みません。とりあえず見えない所に収納されていればいいんです。言えば片付けるんですが、言わないとやらなくて
・置き場所は、洗面所でないと困ったことはありますか?
→私が洗面所だと、お風呂あがりに便利なので。息子は洗面所じゃなくても、困らないと思います。
講師: 導線を聞いて、無駄がないかを確認するといいですね。パジャマは、洗面所じゃなくても、見えない所に片付いていればいいんでしたね。着替えが自分の部屋にあるなら、導線にパジャマをポイっと入れられる箱を置くなど考えられますよね。相手を変えることより、自分が思い込みに気づいて変わることの方が簡単です。

・(自分の子どもは、シール貼りが好きなので)パジャマを片付けたら、シールを貼るのも楽しいですね。
→シールいいですね!ちょうど昨日、幼稚園のときの出席ノートを見て、子どもが学校でもシール貼りやって欲しいなって言ってたんです!可視化できるし、早速シールを買いに行きます。でも、子どもの自主性を大切にしたいのですが、こちらからパジャマ片付けたら、シールを貼ろうと提案していいんですか?

講師:本人がやりたいと言って、決めたことならいいんです。無理矢理シール貼ろう、ではないですから。本人が決めたことならそれを実現することで自己肯定感が上がります。一緒に楽しんで続けられる仕掛けをつくっていくのは大切です。シールを買いに行くことから、一緒にしてもいいですね
→息子は、表をつくるのが得意なのでシールを貼る台紙を作ってもらいます。
---
さて、参加者Aさんは、自分の息子さんに合った解決策を見つけたようですね。その後のパジャマ問題は解決されたのか・・・?次回のブログでは、その後の息子さんのご様子や講座の感想をご本人に投稿いただきます。後編をお楽しみに。

(山岡 美翔 ムラのミライ 理事)






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2018年5月18日金曜日

メタファシリテーションの実践から、自分の思い込みに気づく

シンプルな対話(いつ、何を、どこで、といった事実だけを聞きだす事実質問)を通して、相手に気づきを促したり、本当の問題を知ったりするためのコミュニケーション手法、(対話型)メタファシリテーション。今年の春休みにこの手法を知り、つまずきながらも日常生活で少しずつ実践しようと心がけています。今回は私のアルバイト先のレストランでのある先輩との会話について書きたいと思います。

二週間ほど前のある平日の暇なディナー営業でのこと、私は先輩と二人でおしゃべりをしていました。その先輩がインテリア好きだと以前に聞いていた私は、「一番最近買ったインテリアは何ですか?」と質問。
すると二年ほど前にスツール(背もたれのない一人用のいす)を通販で買ったとのこと。先輩は家にある北欧テイストのスツールの実物写真を見せてくれました。
「めっちゃおしゃれですね!」と私。

同時期に通販のオーダーメイドでキャビネットも購入したと先輩。北欧のインテリアが好きで通販で調べ、またインテリアとしてドライフラワーを買いに、実家に帰省した際二回ほど隣県のハーブ園に足を運んだこともあると聞かせてくれました。そういえば、昨年夏北海道に家族旅行に行っていたときは、小樽のハーブ園できれいなドライフラワーの置物をお土産で買ってきてくれたことを思い出しました。

その後話題は自然に音楽へと移っていき、私は先輩が学生時代に軽音楽部に所属していたことを知っていたので、いつから音楽に取り組んでいたのか気になり、質問してみました。

私:「音楽で何か活動し始めたのは大学生からですか?」
先輩:「いや、中学生のとき。学校にそういう団体がなくて、友達と部活を作って文化祭で発表したりもした。」
私:「へえ~そうだったんですか!」

その後、ヘヴィメタル、ヴィジュアル系、コンテンポラリーなどなど、私にはちんぷんかんぷんな、中学生時代からの先輩が好きになったロックミュージックの種類の変遷についてまでも楽しそうに話してくれました。

その先輩は、フリーターだけれど他の学生よりバイト時間が多くもなく、私の中でもかなりマイペースな印象を持っていて、あまり積極的に行動するイメージがありませんでした。
けれど、
「最近いつ何のインテリアを買いましたか?」
「音楽に取り組みだしたのはいつですか?」
という「いつ」を使った二つの単純な事実質問によって、興味のあることを熱心に追求する先輩の一面を新しく知り驚きました。

今までその先輩について、インテリアが好き、ロックが好き、料理が好き…など、会話のなかで知っていっても、自分があまりその分野に精通していなかったり、会話の広げ方が分からなかったりして、そうなんだ~とか、すご~いとか、うわべだけの返しをしてしまっていたことが多かったと思います。
いつから調べ出したのか、最後に何をいつ買ったかなど、簡単に聞ける事実を知ろうとせず、自分の中にあるぼんやりした情報や普段のバイトでの様子など、自分の見たものや、理解できる範囲のことからだけでその先輩を見ていたことに気づきました。事実をたくさん聞いていくことで、私が今まで知ろうとしてこなかった先輩の一面を知れて、嬉しい気持ちになりました。

相手ではなく、自分に対しての気づきになってしまったのですが、事実と思い込みをごちゃ混ぜにして、ただたくさん会話するだけでは、何もその人に対する事実を知ったことにはならないと学びました。
知り合って丸二年近くですが、私の中の先輩への印象がやっと少し変化したおしゃべりでした。


(笠見友香 ムラのミライインターン)







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