2018年9月14日金曜日

村の成り立ちを洞察するためには・・・ 母袋で学んだこと2

岐阜県郡上市母袋集落で3日間に渡って開催された、地域づくり・地域支援のためのコミュニケーション研修
2日目の8月27日。私、インターン生の野片は3グループある内の1つに加えてもらい、グループの4人の参加者に混ざって研修に参加しました。
午後のグループワークの課題として与えられたのは、暮らしを分解していくということ。
食、水、エネルギー、交通、住、ごみ、教育、環境、などといった暮らしの項目を細かく細かく分解していくということ。分解する中で、どのような選択肢があるのかを知ること。


私たちのグループは「住」の項目を選び、メンバーの中の一人のお宅について、分解をしていきました。
-お住まいはどちらにありますか?
-いつから住んでいますか?
-そのお家はどうやって探しましたか?
-お家を探す際の検索ワードは何ですか?
-一緒に暮らしている人はいますか?
-何階建てですか?
-部屋は何部屋ありますか?
-リフォームする際、使用した木材は何ですか?
-木材はどこで入手しましたか?

この様に質問を重ねていきました。聞きこんでいく中で、家主の家に対する理想やこだわり、お家の使い方が徐々に明らかになっていきます。質問をする傍らで、頭の中では自分の住んでいる家についても考えていました。

-いつから住んでいますか?
私が高校1年生の時からだから、今年で8年目かな。
―家は誰が設計しましたか?
知らないなぁ。
―そのお家は誰が購入しましたか?
私の両親。
―お家は何で出来ている?
木造のお家だけど、建材って誰が選んで、どこから持ってきたのだろう…

同じ質問でも、私から出る答えは「知らない」ばかり。どのような選択肢があったのか、その中の何を選択して、今暮らしている家が存在するのか。私には何も見えてきません。

住居は両親の財産です。では、自分で選んで購入した、たった今着用しているボーダーのTシャツを分解してみるとどうでしょう。
―いつ購入しましたか?
4年前です。アウトレットモールで購入しました。
―具体的に何というお店か覚えていますか?
忘れました。
―誰がデザインしたのでしょう?
分かりません。
―どこで製造されましたか?
タグには「Made in China」と書かれているけれど…広い中国の具体的にどこだろう。
そもそも、布地や糸も中国で作られているのかな。タグには綿100%とあるけれど、
どこで採取されたのだろう。誰が素材を選んだのだろう。
縫製したのは誰で、その際にどのような道具を使ったのかな。
中国から日本には、誰が、どうやって、いつ、運送したのだろう。
販売店への入荷を決めたのは誰で、価格はどうやって設定したのだろう。


なんてこった。
自分で選んだTシャツについてでさえも、一度事実質問を用いて分解を試みると、私は何も知らないのだということに気づきます。
分解しきれないことに気づきます。

私がこのTシャツを買った際の選択の基準は、精々ボーダーであるということと、学生にとってもお手頃な価格であったということくらい。
私の持ち物に対して事実質問を繰り返す中で、思い出した一節がありました。(以下、「途上国の人々との話し方」より抜粋)

「事実質問の練習 その2→身の回りの「もの」を取り上げ事実質問を30考える
…ここで重要なのは、ひとつの「もの」や「こと」には、多様な側面があることに気づくことである。…事実質問を行うことは、物事の持つ多様な側面についての知識と各要素間の相互関係への理解を深めるために絶好の訓練になる。その積み重ねが、ものごとへの理解を飛躍的に高めてくれること、請け合いである
途上国の人々との話し方、pp274-276)

今回の母袋の研修で学んだのは、私は自分の暮らしを構成する要素を分解しきれないということ。
知らないということ。
講師である和田さんは、ムラの景色を見るだけで、そのムラが辿ってきた過程が分かるとおっしゃいました。
それが、一人前のファシリテーターだと教えてくださいました。
一人前になれるよう、まずは自分自身の生活を分解しきれるようにならねばと思います。
私の暮らし、身の回りのものごとへ事実質問をもっともっと重ねて、訓練していきます。




(ムラのミライ インターン 野片真美)




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2018年8月31日金曜日

地域おこしと対等感 母袋で学んだこと1 

8月26日から8月28日で開催された、「地域づくり・地域支援のためのコミュニケーション研修」。あっという間に終わった研修の帰り道で、一人で電車に揺られている時に真っ先に思い浮かぶのは、会場となった岐阜県郡上市、母袋集落の素敵なおっちゃん達です。
おっちゃん達は、何であんなにチャーミングなのだろう―――少しだけ振り返ってみました。


おっちゃん達は1日目の懇親会にも、2日目のBBQにも駆けつけてくれました。
BBQでは、自分で作ったというシイタケを日本酒と一緒に調理したものや、棒に刺して焼いたアユを沢山ふるまってくれました。BBQの後の二次会にも来てくださって、桃色と白色のどぶろくを、たんと飲ませてくれました。おっちゃん達の様子から、思い出したことがありました。「途上国の人々との話し方」の一節です。

「メタファシリテーションが人間科学に基づく手法を標榜するのは、人間という生物種に共通な心理と行動のメカニズムを重視するからである。つまり、金持ちだろうと貧乏だろうと、子供だろうと大人だろうと、都市のインテリだろうと無学な漁師だろうと、一皮向けば大差ない。つまり、同じ人間であるという対等感から常に出発することを旨としているわけである。同じ人間であるということから出発し、自分を相手に置き換えて考えてみる」
途上国の人々との話し方、p327より)
 


おっちゃん達から見た私は、23歳の何も知らない大学生。なのに、「おねえ」や「マミーゴ」と私を呼び、まるでずっと前から仲が良かったかのように輪に入れてくれる。

例えば、おっちゃんが食べさせてくれた、日本酒と炙ったシイタケ。
 -シイタケはいつ収穫したのですか?
 -シイタケはどこで栽培したのですか?
 -シイタケを収穫するときは、どんな道具を使うのですか?
 -シイタケの栽培を始めたのはいつですか?
 -シイタケの栽培方法はどこで学んだのですか?
 -日本酒と炙る調理法はどこで知ったのですか?
 -どの日本酒を、どれくらい使えばいいのですか?

このように事実質問をしていくと、私は何にも知らないということが分かります。
おっちゃん達はたんと食べさせてくれました。おいしいシイタケを作れること、アユを焼けることなんて何てこと無いかのように、気さくにおしゃべりをして、どんどん振舞ってくれました。私は生意気にも胡坐をかいて、輪に加わっているだけ。こちらが集落にお邪魔しているのに、最後には「よく来てくれたね、またおいでね」と言ってくれました。居心地の良い対等感を作ってくれました。

大学4年生の私。春に入学した1年生との会話を思い出しました。
1年生のころから専攻分野を何にするか考えたほうがいいよ―――
サークルだけに集中する大学生活は勿体ないよ―――
1年生のうちから大学の外でも繋がりを作ったほうがいいよ―――
などなど、求められていない提案をしたり、何かと「先輩風」を吹かせていたことを反省しました。おっちゃん達みたいな「気さくさ」とは程遠かったことを反省しました。


ムラのミライのスタッフの方たちの様なファシリテーターに早くなりたい、もっと勉強したい。そんな中、参加させて頂いたのが母袋でのフィールド研修です。
この研修を通して、目指すファシリテーター像がより具体的になった気がします。母袋のおっちゃん達に教えてもらいました。

おっちゃん達みたいな、目じりに皺のあるおばちゃんになりたいです。
おっちゃん達みたいな、他所から来た大学生にうんと美味しいものを振舞えるおばちゃんになりたいです。
そしておっちゃん達みたいに居心地の良さを作れる、そんなファシリテーターになりたいです。

次に母袋にお邪魔するときには、シイタケの美味しい調理法を教えてもらえたらいいなと思います。




(ムラのミライ インターン マミーゴこと野片真美)




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2018年8月17日金曜日

保育園での子どもの様子を聞く “注意力散漫”は本当に問題? 

みなさんはもう夏休みを取られましたか?
帰省、同窓会、旅先など普段会えない人と話す機会が多くなる夏休みは、事実質問を練習するチャンス。
ついつい聞いてしまいがちな「最近どう?」を封印し、いつ、どこ、だれ、何を使って、相手の「仕事」や「学校」での一日の様子を聞いてみると、新しい発見があるかもしれません。

今回は保育士をする友人Aに園での子どもの様子を聞いてみたお話です。
私の友人Aは、保育園で幼い子どものクラスを担当しています。
ある日保護者面談があり、子どもの様子を親から聞かれて「注意力散漫なところがあります」と答えたものの、自分が言った言葉にモヤモヤが残ったそう。
その時の会話は、以下のようなものでした。

<<保育士AとBちゃんの保護者との会話>>
保護者:「うちの子に何か問題はありませんか?」
A:「そうですね、みなさん心配されてそう聞かれるんですけど…。」
保護者:「先生を困らせたり、お友達に嫌な思いをさせたりしていませんか?」
A:「全然そのようなことはありません。あえて言うなら少し注意力が散漫なところがあります。でも成長の過程ですから、大丈夫ですよ。」
保護者:「そうなんですか、確かに家でもご飯を食べるときに落ち着いていなかったりします。保育園でも注意力散漫なんですね…。」
A:「保育園では、ご飯の時は席を立つことはないですよ。お家では甘えたいのかもしれませんし、あまり気になさらないでください。」
保護者:「そうですか…保育園では、席を立たないんですね。私が気をつけるようにします…。」と保護者の方は肩を落として帰宅したそうです。

でも、Aは自分が言った「注意力散漫」という言葉で保護者を必要以上に心配させてしまったことでモヤモヤが残ったそう。
そこで、「注意力散漫」について、保育士である友人Aと自分の共通理解をもつべく、事実質問スイッチを入れました。

<<保育士Aと私との会話>>
私「注意力散漫って、そのお子さん昨日もそんなことがあったの?」
A「そうそう、昨日の午前中もオムツ替えのときに、Bちゃんはきょろきょろしてばかりいて、なかなかオムツを履き替えなかったの。」
私「そうなんだ。朝の何時くらい?」
A「登園後朝の歌を終わったあとだから、9時30分くらいかな。」
私「どこでオムツを履き替えたの?」
A「教室の隅にある更衣室だよ。」
私「どれくらいの広さ?教室には何人いた?」
A「2畳くらいの大きさかな。子どもは10人くらい。」
私「9時30分に一度におむつ替えをしたの?」
A「ええ。みんなでおむつを脱いで、トイレに座って、新しいオムツを履くの。」
私「Bちゃんは、何番目にトイレに行けたの?」
A「Bちゃんは最後だったわ。他のお友達のオムツの柄を見たり、オムツを脱ぐのを応援したりしていて、ようやく脱ぎ始めたから。」
私「そっか。小さいスペースに子どもが集まることはあるの?」
A「朝と帰りの着替えの時だけね。帰りの着替えの時もBちゃんはお友達の着替えを見ていて、いつも最後になるの。」
私「お友達の一挙手一投足が面白いのね、うちの子もお友達が近くに来るとよく観察して出遅れるの。一昨日もそんなことがあった?」
A「うん、新しいクラスになってここ2,3カ月はそんな感じだったわ。でも他の子に迷惑をかけているほどでもないのよね。」
私「そっか、Bちゃんが着替え以外に注意力散漫だったことはあった?」
A「いいえ、着替えの時だけよ。」
私「昨日は着替えの後は何やったの?」
A「お歌とお絵かき。」
私「最近、お歌をうたっているときに、Bちゃんだけ別の場所に行ってしまったり、お絵かきの時に他のことをやって、注意したことはなかった?」
A「なかったわ。机に向かうと席を外すこともないし、集中力はある子なの。そうそう、積み木も一番高く積めるの。」
私「すごいね。他には注意力が散漫になることってあった?」
A「いいえ、お外遊びの時も年上のお友達ともすごく仲良く遊べるの。違うクラスの子でもすぐ自分から話しかけるから。」
私「じゃあ着替えの時だけなんだね。」
A「そうね、着替えの時は、近くにお友達がいて気になって遅くなっているだけなのよね。」

もし、わが子が「注意力散漫」と担任の先生に言われたら、私だって気持ちが落ち込みます。
ただ、そう答えさせたのは保護者側の「何か問題はありませんか?」という質問がきっかけでした。

そこで、事実質問で詳しく保育士Aの話を聞いてみると、Bちゃんの「注意力散漫」という状況がいつ、どこで見られる行動なのかが見えてきました。
そして、Aは、Bちゃんの行動が問題というほど、問題ではなかったことに気が付きました。

このように事実質問で相手と共通理解を積み上げることが出来るようになると、ちょっとしたひと言で誰かを必要以上に傷つけたり、傷ついたりする回数はグッと減っていきます。

山岡 美翔 ムラのミライ 理事)





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2018年8月10日金曜日

メタファシ基礎講座 事実質問で分かる その悩み、本当に困っている?

7月1日のメタファシリテーション基礎講座にて、数人のグループで自分の直したい習慣について話していたとき。聞き手はそれに対して事実質問をします。

聞き手は、その人が本当にその癖で困っているのか、直したいのかを確かめます。そのために、現在の状況や、理想像はあるのかなどを事実質問で聞いていきます。私は、時間や期限がギリギリな癖を直したいと話しました。

「最近それのせいで困ったことはありますか?」
「今朝です。この講座には間に合ったんですけど、家を出たい時間の10分前くらいにやっと起きて、身支度だけして15分で家を出ました。」
「間に合ったんだ笑 その前は?」
「水曜日の授業に10分くらい遅れました」
「今まで授業に遅れて困ったことある?」
「…ないです笑」

私は、自分の中で知らず知らずのあいだに区別していたことに気付きました。アルバイトやインターンなどには遅れたことがほぼない一方、出席は自己責任な大学の授業は、意識して急いだり遅れないようにしたりしていませんでした。本当に遅れるとまずいのかで急ぐかどうか行動を変えていて、ホンキで困っていて直したいと思っているわけではなかったのです。

また、それとは関係のない、方向音痴のせいで困ったことも、ギリギリな理由の一つにしてしまっていました。
東京で夜行バスに乗る時、時間に余裕を持って出発にも関わらず、迷って乗り遅れてしまったことを話した時、事実質問をされる中で、
普段知っている道ではほとんど迷うことは無い。知らない土地で迷って、早めに出発したのにバスの時間に遅れたことは、普段私が時間にギリギリなこととは関係ない、ということに気づきました。

事実質問を通して話を聞いて頂く中で、私はホンキで困っていない、直したいと思っていないことに気付いてしまい、すっきりしました。
今まで、努力をしてきたわけでもないのに、心のどこかでは遅刻してしまう自分が嫌で、もやもやしていました。いったい私は今ホンキで間に合いたいのか、そのための行動をしているか?ということを、これからは自分に事実質問をした上で、時間にギリギリな癖があると言わなくていいように、余裕を持って過ごしたいです。

(笠見友香 ムラのミライインターン=寝起きがとても悪く、目覚ましが鳴っても一時間以上寝続けます)

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2018年8月3日金曜日

あの時はどうしたっけ? 過去の似た経験を思い出してもらう

20187月、今年度のネパールでの活動について(※1)、ソムニード・ネパール(※2と打ち合わせるため、半年ぶりにネパールへ行きました。
滞在中に、これからソムニード・ネパールが一緒に活動したいと考えている村(ここではG村とします)のオバチャンたちと話をする機会を作ってもらいました。このオバチャンたちは、ソムニード・ネパールが実施した研修に参加した人たち。自分たちなりにゴミの分別を始めていますが、資源回収業者に回収してもらうため、ガラス片や金属を持ち寄ることのできる、資源回収スペースを作りたいと口々に言ってきました。
でも、気になったのは、回収場所を作りたいとは言うものの、何世帯が利用して、どのくらいの量のガラス片や金属を溜めておける場所が必要なのか…という答えが出なかったことです。ということは、ソムニード・ネパールとのあいだでも、そういう話はしていないということ。まずはソムニード・ネパールとオバチャンたちがここを明らかにしないと、これ以上は何も進まない。回収場所なんて言うとなんだか具体的に聞こえますが、何も具体的ではない。
たとえば、「新しいパソコンが欲しい」と思っていても、画面の大きさは?カバンに入る大きさがいい?OSは?メモリは?メールと表計算ができれば十分?予算は?色は?などなど、どう使っていくのかを考えていかないと、どのパソコンを買うか決められませんよね。



そこで、次の日、ソムニード・ネパールのスタッフ、ディベンドラとのミーティングの機会をもちました。まずは私と、実際に現場でオバチャンとやり取りをする彼とのあいだで共通理解を作っておきたかったからです。

私:昨日、G村のオバチャンたちの話を聞いていて、気づいたことはありましたか?
ディベンドラ(以下D):あそこは昔の人たちと新しく移住してきた人たちのとの間での衝突があって・・・
(私の心の声:え?昨日そんな話題は出ていたっけ?)
まぁ、それは昨日の話には出てこなかったけどね。
(私の心の声:言いたかっただけ?)

やや暗雲立ち込めるスタートでしたが、気を取り直して

私:ええっと、私は、話を聞いていて、オバチャンたちは、どのくらいの大きさの回収場所が必要かを、まだ具体的に考えていないし、オバチャンたちの間でも共有してないように見えたんですよね。

そこから、ちょっと話の矛先を変えてみました。

私:ところで。ディベンドラさん、DEWATS(分散型排水処理施設、※3)建設の時は、どうしていたんですか?
D:?
私:設計図を作る前になにか調べていましたよね。それは何でしたか?
D:利用する予定の人の数や、各家庭から排出される排水量を調べましたね。
私:ですよね。あらかじめ、村にどのくらいの人がいて、どのくらいの排水量があって…を調べてからDEWATSの設計図を書いていましたよね。何のためでしたっけ。
D:これを調べておかないと、適切な大きさのDEWATSを割り出せないですよね。
私:そうですよね!じゃあ、ゴミ回収場所も同じじゃないですか?まず、“利用する予定の人数”からいきましょうか。どうやって調べていきます?
D:なるほど、じゃあ、世帯調査を…
と、DEWATS建設の経験を思い出しながら、1年間の活動を組み立てていきました。

ここで過去の活動の話―村の人たちと、ムラのミライとソムニード・ネパールで取り組んだDEWATS建設のことを話題に出したのは、『途上国の人々との話し方』(※4)にも解説されている「類似体験について聞いてみる」をやってみようとしたからでした。
これまでも、いろいろな場で「類似体験について聞いてみる」ことを試してみたものの、「それはそれ、これはこれ」と言われ、何度も撃沈しましたが(実は、前日のオバチャンとの会話でも試して失敗しています)、今回は、「ゴミ回収場所を作る」というボンヤリしたアイデアから、一歩進む突破口が少しは見えたんじゃないかなという気がしています。
ただ、こうしてやりとりを振り返ってみると、私から何でもかんでも言いすぎていて、本当は「DEWATSもゴミ回収場所も同じ」とディベンドラに言ってもらえれば、なお良かったのですが。

今やっていること、議論していることになんとなく行き詰ったなーという時、類似体験を思い出してみると、案外するっと突破口が見つかるかもしれません。

(ムラのミライ事務局長 田中十紀恵)

2 ソムニード・ネパール:ムラのミライがネパールで活動するときの現地パートナー団体。
3 DEWATS(分散型排水処理施設):自然の力を利用して家庭排水を浄化し、川に流す施設。詳しくはこちらをご覧ください→
「でこぼこ通信第12号」http://muranomirai.org/dekoboko-12
4 『途上国の人々との話し方』p.316 「③解決方法を探る:自己の類似体験の追跡にこだわる」

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2018年7月13日金曜日

お悩み相談に必要なのってアドバイス?それとも・・・

「私、本を読むのが遅いんです。」
6月23日、西宮で開催された「メタファシリテーション基礎講座」にて。
昼食後、改めたい習慣について3人1組のグループで交互に聞いていった。1人が聞き手、1人は話し手、そしてもう1人はオブザーバー兼タイムキーパーだ。その際のルールは以下の2点。
 1.  事実質問だけを用いること
 2.聞き手は提案をしないこと
私、インターン生の野片は上記の悩みを打ち明けた。
この時、聞き手だった方は最近読んだ本を起点に、遡って聞いてくださった。
何を読んだのか、いつ読んだのか、どれくらい時間がかかったのか。
私がケータイでコラムやNAVERなどのまとめ記事を読むときはあまり時間がかかっていないことが突き詰められた。
やり取りを見ていた、ムラのミライ専務理事の宮下さんは1つ私にこう尋ねた。

「今までに本を読むのが遅くて何か困ったことや、人に迷惑を掛けたことはあった?」
私は自分の経験を思い返した。迷惑を掛けたことは無い。けれどもより早ければそれだけ良いと思うのだ。遅くて嫌なんです――とだけ、答えた。

すると宮下さんは私にこう問われた。
「他の誰かを見て、この人読むの早いな、すごいなと思ったことはありますか?」

この質問がトリガーとなって、心当たりのある光景が浮かんできた。
そうだ。あれは天気の良い昼下がりに、学校のテラスで本を読んでいた友達と話をした時のことだ。

「友達が何を読んでいたか覚えてる?」
宮下さんは続けざまに聞かれた。

友達が読んでいたのは、確か、卒業論文関係の小難しい本。話をした前日に、市立図書館へ一緒に赴き、彼女が借りていた本。たった一晩で、その本の半分を読み上げたことを彼女は私に伝えてくれた。それだけ夢中になったのだと。

それを話すことで、気がついた。問題は、本を読むスピード云々よりもむしろ、卒業論文に根ざしているのだと。私の卒業論文は、テーマも決まらず停滞中で、焦りや卒論を書き始めることすら出来ない閉塞感にうんざりしていた。彼女のように熱中して、そして早く情報収集ができたらいいのに、と感じたのだ。


「本を読むのが遅いんです」
これは問題のように聞こえて問題ではない。
宮下さんはまず、「遅い」とは何か、反対に私が理想とする「早い」とは何か、を細分化し明確にしてくださった。
次に、「本」はどのような本を指すのかについて、事実質問の中で明らかにされた。私の場合は「卒業論文関係の本」だ。

もし私が同じ悩みを友達に相談されたら、何と答えただろう。
それだけ丁寧に読んでるってことじゃない?――と、相手を否定しない様な当たり障りのないことを言っただろうか。
図書館で読んだら、すごく集中できたよ!――など、私の経験を元にしたアドバイスをしただろうか。
真剣に悩んでいる相手に、こちらの主観に基づく提案は全く響かない。必要なのは、事実質問を重ねていくことだ。相手の理想とは何か、それに対する現実は何か、細かく細かく聞いていくことだ。次から次に口から出そうになる提案を飲み込むのは難しい。事実質問をマスターした時はきっと、辛抱強い人間になっているのだろうな、と思った。一日でも早く近づけるように頑張ろう、と思った。


(野片真美 ムラのミライ インターン)



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2018年7月6日金曜日

聞き取りだけでは不十分?調査に必要なものとは・・・

6月25日にムラのミライ海外事業チーフである、前川さんが登壇された京都大学での
2回目の講義に参加してきました。今回はその後半をレポートします。前半では、私たちは言葉とそれに伴う観念といった「思い込みの眼鏡」を掛けていることに気づきました。

つまり、聞き取り調査だけでは村の現実に十分に近づけたとは言えません。

より現実を捉えるためには何が必要か。
そこで登場するのが「観察」だと前川さんはおっしゃいます。

多くの人が小学校で経験したことのある、ひまわりや朝顔の「観察」を例として挙げられました。皆さんは小学校でひまわりの何を観察されたでしょうか?

他の花とどのような違いがあるのか、種から花になるまでのスパンや成長過程、1週間あるいは1か月ごとの葉の枚数の変化、最終的な葉の枚数、サイズや高さ、気温、土、
水の量や質、等々。

偏に「ひまわりの観察」といっても、観察の対象と成り得るものは様々。ほんの数分の間であっても、上記のものが次々と並びました。

「観察」の対象や方法は目的に応じて多種多様です。期間の限られた調査では、何を、どこで、誰に、いつ、見聞きするのかといった明確な目的が不可欠であると前川さんは続けます。



道路の拡張工事を例に、調査についての理解を深めていきました。
6か月、あるいは1年、2年といった期間で、車の通りが頻繁でありながら一車線であった道路を拡張するといった内容の工事があるとします。調査チームのミッションは、工事によるインパクトの把握です。

前川さんは何が調査対象と成り得るかを問われました。
学生さんたちによって挙げられたのは以下の通りです。

   いつ -工事前、工事中、工事後のそれぞれに時点を置くことが出来る
   誰を -通りを利用する人々、通りにある店の経営者や従業員
   どこを-通りやその周辺の住居

そこで、一人の学生さんが「工事の前後を比較したライフスタイルの変化」と発言。
「ライフスタイルって何を指しますか?」と、前川さんはさらに掘り下げます。
衣食住、慣習、宗教観、職に家族構成、地域・・・。

学生さんたちが問いに答える中で分かったのは、

   ライフスタイル(一つの言葉)に結びつくイメージは人それぞれ


であるということ。つまり、一人ひとりが各々に思い描く「ライフスタイル」という思い込み眼鏡をかけているのです。




ライフスタイルの中で、食に焦点を絞ってみましょう。
食のスタイルを知るためにはどのような事実質問が出来るでしょうか。

例えば、道行く人にインタビューするとします。

   -もう食事はお済ですか?何を食べられましたか?
   -昨日は何回食事を取られましたか?
   -誰と食事をしましたか?
   -どこで食事をしましたか?

などなど。重ね重ね質問をしなければなりません。
ライフスタイル、その中の食1つをとってもこれだけの広がりがあります。
ひまわりの観察の例と同様、「観て(=観察)」、「聞いて=(聞き取りインタビュー)」、そして「知る(=調査)」ためには、何を調査するのか(=目的)を明確にすることが重要だと分かります。

「道路の拡張工事のインパクトを調査」、一見立派な目的に見える言葉のまとまり。
しかし、思い込み眼鏡(言葉)にだまされてはいけません。
どこで、誰に、いつ、何に対する、そしてどのような影響を探る必要があるのかなど、
1つ1つを明らかにする必要があるのです。

ハッキリとした目的という土台の上に、「観察」と「事実質問」。この3つが揃って初めて、調査の準備が整ったと言えるのだと学びました。
入り口にはたどり着けましたか?
道具は持ちましたか?
そして「眼鏡」は外しましたか?
自分自身に問いかけなければ、と思いました。




(野片真美 インターン=私は目が悪いので、眼鏡なしでは生活できません)




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