2018年8月10日金曜日

メタファシ基礎講座 事実質問で分かる その悩み、本当に困っている?

7月1日のメタファシリテーション基礎講座にて、数人のグループで自分の直したい習慣について話していたとき。聞き手はそれに対して事実質問をします。

聞き手は、その人が本当にその癖で困っているのか、直したいのかを確かめます。そのために、現在の状況や、理想像はあるのかなどを事実質問で聞いていきます。私は、時間や期限がギリギリな癖を直したいと話しました。

「最近それのせいで困ったことはありますか?」
「今朝です。この講座には間に合ったんですけど、家を出たい時間の10分前くらいにやっと起きて、身支度だけして15分で家を出ました。」
「間に合ったんだ笑 その前は?」
「水曜日の授業に10分くらい遅れました」
「今まで授業に遅れて困ったことある?」
「…ないです笑」

私は、自分の中で知らず知らずのあいだに区別していたことに気付きました。アルバイトやインターンなどには遅れたことがほぼない一方、出席は自己責任な大学の授業は、意識して急いだり遅れないようにしたりしていませんでした。本当に遅れるとまずいのかで急ぐかどうか行動を変えていて、ホンキで困っていて直したいと思っているわけではなかったのです。

また、それとは関係のない、方向音痴のせいで困ったことも、ギリギリな理由の一つにしてしまっていました。
東京で夜行バスに乗る時、時間に余裕を持って出発にも関わらず、迷って乗り遅れてしまったことを話した時、事実質問をされる中で、
普段知っている道ではほとんど迷うことは無い。知らない土地で迷って、早めに出発したのにバスの時間に遅れたことは、普段私が時間にギリギリなこととは関係ない、ということに気づきました。

事実質問を通して話を聞いて頂く中で、私はホンキで困っていない、直したいと思っていないことに気付いてしまい、すっきりしました。
今まで、努力をしてきたわけでもないのに、心のどこかでは遅刻してしまう自分が嫌で、もやもやしていました。いったい私は今ホンキで間に合いたいのか、そのための行動をしているか?ということを、これからは自分に事実質問をした上で、時間にギリギリな癖があると言わなくていいように、余裕を持って過ごしたいです。

(笠見友香 ムラのミライインターン=寝起きがとても悪く、目覚ましが鳴っても一時間以上寝続けます)

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2018年8月3日金曜日

あの時はどうしたっけ? 過去の似た経験を思い出してもらう

20187月、今年度のネパールでの活動について(※1)、ソムニード・ネパール(※2と打ち合わせるため、半年ぶりにネパールへ行きました。
滞在中に、これからソムニード・ネパールが一緒に活動したいと考えている村(ここではG村とします)のオバチャンたちと話をする機会を作ってもらいました。このオバチャンたちは、ソムニード・ネパールが実施した研修に参加した人たち。自分たちなりにゴミの分別を始めていますが、資源回収業者に回収してもらうため、ガラス片や金属を持ち寄ることのできる、資源回収スペースを作りたいと口々に言ってきました。
でも、気になったのは、回収場所を作りたいとは言うものの、何世帯が利用して、どのくらいの量のガラス片や金属を溜めておける場所が必要なのか…という答えが出なかったことです。ということは、ソムニード・ネパールとのあいだでも、そういう話はしていないということ。まずはソムニード・ネパールとオバチャンたちがここを明らかにしないと、これ以上は何も進まない。回収場所なんて言うとなんだか具体的に聞こえますが、何も具体的ではない。
たとえば、「新しいパソコンが欲しい」と思っていても、画面の大きさは?カバンに入る大きさがいい?OSは?メモリは?メールと表計算ができれば十分?予算は?色は?などなど、どう使っていくのかを考えていかないと、どのパソコンを買うか決められませんよね。



そこで、次の日、ソムニード・ネパールのスタッフ、ディベンドラとのミーティングの機会をもちました。まずは私と、実際に現場でオバチャンとやり取りをする彼とのあいだで共通理解を作っておきたかったからです。

私:昨日、G村のオバチャンたちの話を聞いていて、気づいたことはありましたか?
ディベンドラ(以下D):あそこは昔の人たちと新しく移住してきた人たちのとの間での衝突があって・・・
(私の心の声:え?昨日そんな話題は出ていたっけ?)
まぁ、それは昨日の話には出てこなかったけどね。
(私の心の声:言いたかっただけ?)

やや暗雲立ち込めるスタートでしたが、気を取り直して

私:ええっと、私は、話を聞いていて、オバチャンたちは、どのくらいの大きさの回収場所が必要かを、まだ具体的に考えていないし、オバチャンたちの間でも共有してないように見えたんですよね。

そこから、ちょっと話の矛先を変えてみました。

私:ところで。ディベンドラさん、DEWATS(分散型排水処理施設、※3)建設の時は、どうしていたんですか?
D:?
私:設計図を作る前になにか調べていましたよね。それは何でしたか?
D:利用する予定の人の数や、各家庭から排出される排水量を調べましたね。
私:ですよね。あらかじめ、村にどのくらいの人がいて、どのくらいの排水量があって…を調べてからDEWATSの設計図を書いていましたよね。何のためでしたっけ。
D:これを調べておかないと、適切な大きさのDEWATSを割り出せないですよね。
私:そうですよね!じゃあ、ゴミ回収場所も同じじゃないですか?まず、“利用する予定の人数”からいきましょうか。どうやって調べていきます?
D:なるほど、じゃあ、世帯調査を…
と、DEWATS建設の経験を思い出しながら、1年間の活動を組み立てていきました。

ここで過去の活動の話―村の人たちと、ムラのミライとソムニード・ネパールで取り組んだDEWATS建設のことを話題に出したのは、『途上国の人々との話し方』(※4)にも解説されている「類似体験について聞いてみる」をやってみようとしたからでした。
これまでも、いろいろな場で「類似体験について聞いてみる」ことを試してみたものの、「それはそれ、これはこれ」と言われ、何度も撃沈しましたが(実は、前日のオバチャンとの会話でも試して失敗しています)、今回は、「ゴミ回収場所を作る」というボンヤリしたアイデアから、一歩進む突破口が少しは見えたんじゃないかなという気がしています。
ただ、こうしてやりとりを振り返ってみると、私から何でもかんでも言いすぎていて、本当は「DEWATSもゴミ回収場所も同じ」とディベンドラに言ってもらえれば、なお良かったのですが。

今やっていること、議論していることになんとなく行き詰ったなーという時、類似体験を思い出してみると、案外するっと突破口が見つかるかもしれません。

(ムラのミライ事務局長 田中十紀恵)

2 ソムニード・ネパール:ムラのミライがネパールで活動するときの現地パートナー団体。
3 DEWATS(分散型排水処理施設):自然の力を利用して家庭排水を浄化し、川に流す施設。詳しくはこちらをご覧ください→
「でこぼこ通信第12号」http://muranomirai.org/dekoboko-12
4 『途上国の人々との話し方』p.316 「③解決方法を探る:自己の類似体験の追跡にこだわる」

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2018年7月13日金曜日

お悩み相談に必要なのってアドバイス?それとも・・・

「私、本を読むのが遅いんです。」
6月23日、西宮で開催された「メタファシリテーション基礎講座」にて。
昼食後、改めたい習慣について3人1組のグループで交互に聞いていった。1人が聞き手、1人は話し手、そしてもう1人はオブザーバー兼タイムキーパーだ。その際のルールは以下の2点。
 1.  事実質問だけを用いること
 2.聞き手は提案をしないこと
私、インターン生の野片は上記の悩みを打ち明けた。
この時、聞き手だった方は最近読んだ本を起点に、遡って聞いてくださった。
何を読んだのか、いつ読んだのか、どれくらい時間がかかったのか。
私がケータイでコラムやNAVERなどのまとめ記事を読むときはあまり時間がかかっていないことが突き詰められた。
やり取りを見ていた、ムラのミライ専務理事の宮下さんは1つ私にこう尋ねた。

「今までに本を読むのが遅くて何か困ったことや、人に迷惑を掛けたことはあった?」
私は自分の経験を思い返した。迷惑を掛けたことは無い。けれどもより早ければそれだけ良いと思うのだ。遅くて嫌なんです――とだけ、答えた。

すると宮下さんは私にこう問われた。
「他の誰かを見て、この人読むの早いな、すごいなと思ったことはありますか?」

この質問がトリガーとなって、心当たりのある光景が浮かんできた。
そうだ。あれは天気の良い昼下がりに、学校のテラスで本を読んでいた友達と話をした時のことだ。

「友達が何を読んでいたか覚えてる?」
宮下さんは続けざまに聞かれた。

友達が読んでいたのは、確か、卒業論文関係の小難しい本。話をした前日に、市立図書館へ一緒に赴き、彼女が借りていた本。たった一晩で、その本の半分を読み上げたことを彼女は私に伝えてくれた。それだけ夢中になったのだと。

それを話すことで、気がついた。問題は、本を読むスピード云々よりもむしろ、卒業論文に根ざしているのだと。私の卒業論文は、テーマも決まらず停滞中で、焦りや卒論を書き始めることすら出来ない閉塞感にうんざりしていた。彼女のように熱中して、そして早く情報収集ができたらいいのに、と感じたのだ。


「本を読むのが遅いんです」
これは問題のように聞こえて問題ではない。
宮下さんはまず、「遅い」とは何か、反対に私が理想とする「早い」とは何か、を細分化し明確にしてくださった。
次に、「本」はどのような本を指すのかについて、事実質問の中で明らかにされた。私の場合は「卒業論文関係の本」だ。

もし私が同じ悩みを友達に相談されたら、何と答えただろう。
それだけ丁寧に読んでるってことじゃない?――と、相手を否定しない様な当たり障りのないことを言っただろうか。
図書館で読んだら、すごく集中できたよ!――など、私の経験を元にしたアドバイスをしただろうか。
真剣に悩んでいる相手に、こちらの主観に基づく提案は全く響かない。必要なのは、事実質問を重ねていくことだ。相手の理想とは何か、それに対する現実は何か、細かく細かく聞いていくことだ。次から次に口から出そうになる提案を飲み込むのは難しい。事実質問をマスターした時はきっと、辛抱強い人間になっているのだろうな、と思った。一日でも早く近づけるように頑張ろう、と思った。


(野片真美 ムラのミライ インターン)



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2018年7月6日金曜日

聞き取りだけでは不十分?調査に必要なものとは・・・

6月25日にムラのミライ海外事業チーフである、前川さんが登壇された京都大学での
2回目の講義に参加してきました。今回はその後半をレポートします。前半では、私たちは言葉とそれに伴う観念といった「思い込みの眼鏡」を掛けていることに気づきました。

つまり、聞き取り調査だけでは村の現実に十分に近づけたとは言えません。

より現実を捉えるためには何が必要か。
そこで登場するのが「観察」だと前川さんはおっしゃいます。

多くの人が小学校で経験したことのある、ひまわりや朝顔の「観察」を例として挙げられました。皆さんは小学校でひまわりの何を観察されたでしょうか?

他の花とどのような違いがあるのか、種から花になるまでのスパンや成長過程、1週間あるいは1か月ごとの葉の枚数の変化、最終的な葉の枚数、サイズや高さ、気温、土、
水の量や質、等々。

偏に「ひまわりの観察」といっても、観察の対象と成り得るものは様々。ほんの数分の間であっても、上記のものが次々と並びました。

「観察」の対象や方法は目的に応じて多種多様です。期間の限られた調査では、何を、どこで、誰に、いつ、見聞きするのかといった明確な目的が不可欠であると前川さんは続けます。



道路の拡張工事を例に、調査についての理解を深めていきました。
6か月、あるいは1年、2年といった期間で、車の通りが頻繁でありながら一車線であった道路を拡張するといった内容の工事があるとします。調査チームのミッションは、工事によるインパクトの把握です。

前川さんは何が調査対象と成り得るかを問われました。
学生さんたちによって挙げられたのは以下の通りです。

   いつ -工事前、工事中、工事後のそれぞれに時点を置くことが出来る
   誰を -通りを利用する人々、通りにある店の経営者や従業員
   どこを-通りやその周辺の住居

そこで、一人の学生さんが「工事の前後を比較したライフスタイルの変化」と発言。
「ライフスタイルって何を指しますか?」と、前川さんはさらに掘り下げます。
衣食住、慣習、宗教観、職に家族構成、地域・・・。

学生さんたちが問いに答える中で分かったのは、

   ライフスタイル(一つの言葉)に結びつくイメージは人それぞれ


であるということ。つまり、一人ひとりが各々に思い描く「ライフスタイル」という思い込み眼鏡をかけているのです。




ライフスタイルの中で、食に焦点を絞ってみましょう。
食のスタイルを知るためにはどのような事実質問が出来るでしょうか。

例えば、道行く人にインタビューするとします。

   -もう食事はお済ですか?何を食べられましたか?
   -昨日は何回食事を取られましたか?
   -誰と食事をしましたか?
   -どこで食事をしましたか?

などなど。重ね重ね質問をしなければなりません。
ライフスタイル、その中の食1つをとってもこれだけの広がりがあります。
ひまわりの観察の例と同様、「観て(=観察)」、「聞いて=(聞き取りインタビュー)」、そして「知る(=調査)」ためには、何を調査するのか(=目的)を明確にすることが重要だと分かります。

「道路の拡張工事のインパクトを調査」、一見立派な目的に見える言葉のまとまり。
しかし、思い込み眼鏡(言葉)にだまされてはいけません。
どこで、誰に、いつ、何に対する、そしてどのような影響を探る必要があるのかなど、
1つ1つを明らかにする必要があるのです。

ハッキリとした目的という土台の上に、「観察」と「事実質問」。この3つが揃って初めて、調査の準備が整ったと言えるのだと学びました。
入り口にはたどり着けましたか?
道具は持ちましたか?
そして「眼鏡」は外しましたか?
自分自身に問いかけなければ、と思いました。




(野片真美 インターン=私は目が悪いので、眼鏡なしでは生活できません)




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2018年6月29日金曜日

調査を阻む「思い込み眼鏡」

「調査とは何なのだろう?」

授業の冒頭で、ムラのミライ海外事業チーフの前川さんが京都大学院の学生さんたちに問われました。前回に引き続き、講義に参加させて頂けた私も、脇で一緒に考えを巡らせました。

第一回では、村の現実に迫る調査をするための道具として事実質問を学びました。しかし、事実質問を用いた聞き取り調査だけでは十分でないと前川さんは続けます。聞き取り調査は言葉であり、言葉やそこから連想する観念という眼鏡を私たちは外せていないからです。事実質問を用いて調査の入り口を正しく見つけることが出来ても、道中で色のついた眼鏡を付けていては、村人と同じ景色を見ているとは言えません。前川さんは経験に基づくいくつかの例を紹介してくださいました。

その1つが年齢について。
「何歳ですか?」と尋ねる際、私たちは正確な答えが返ってくることを期待します。しかし。村人の中には出征証明書を持たず、自分の年齢を把握していない者も少なくありません。「年齢」という言葉は同じでも、私たちが指す年齢と、村人の年齢の捉え方は違うことが分かります。(この様な場合は、生まれた時期、あるいは前後の社会的な出来事を思い出してもらうことで年齢を推測するようです。)

村に限らず、私たちは日常生活の中でも様々な眼鏡をいくつも、いくつも掛けています。
私はこのような経験を思い出しました。

冬に大活躍するヒートテック。私にとってのヒートテックは重ね着をする際の肌着のようなもの。しかし、友人の住む寮を訪れて目にしたのは、ヒートテック一枚でウロウロする彼女の姿。その寮には沢山の学生が住んでいるので、ヒートテック姿の彼女を見かけたのは私だけではありません。友人にとってのヒートテックは部屋着用のシャツでもあったのです。自分との用途の違いにとても驚きました。
私は実際に彼女の姿を「観る」ことで認識の違いに気づきましたが、もし目にしていなかったらこのような会話をしていたかもしれません。例えば、彼女との冬旅行の前夜・・・

私  :明日からの旅行のパッキングは終わった?ホテルにパジャマ置いてあるかなぁ。
    一応パジャマも持っていく?
友達:うん!ヒートテックをトランクに入れたよ!
私  :ヒートテック?パジャマは持っていかないの?

彼女がヒートテック一枚を部屋着にしていることに気づいた後に、他にも数人の友達が
そのような使い方をしていることが発覚しました。考えてみれば、ユニクロも
ヒートテックが肌着とは言っていないように思います。
このような認識のすれ違いは普段の生活にも多々潜んでいるのだと気づきました。

では、自分の思い込み眼鏡を外すためにはどうすればいいのでしょう?
ここで、「観る」こと、つまり「観察」が登場します。
実際に私のヒートテックへの思い込みは、友人の姿を「観る」ことで解消されました。

「観察」とは何か、前川さんの講義から学んだことは次回のブログでレポートします。


(野片真美 ムラのミライ インターン)


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2018年6月22日金曜日

調査の初めの一歩、成功させるためには・・・

6月11日月曜日、午前8時30分。私、インターン生の野片は、京都大学思修館に潜入しました。京都大学の方々をはじめ、沢山の方々のご厚意のおかげで、ムラのミライ海外事業チーフの前川さんが登壇される授業に出席させて頂けることになったからです。
授業の内容は「村での調査手法」について。ミャンマーでの研修が控えた学生さんたちに向けたものです。

調査をするに当たってはじめの質問で事実を聞き出せなかったら、どんなにキレイに収まったプロジェクトでも何の価値も生み出せずに終わったと同じ。ではそれを避けるために、どのような質問をすればいいのか。まず授業では朝ごはんについて、感情、考え、事実の3つを聞き出す質問を通してそれぞれの違いに気づくことが出来ました。また、前川さんの経験を交えた説明を聞くことで、事実質問への理解が深まりました。印象的だったのは、ペアでの練習の前に前川さんが例として見せてくださった事実質問の流れ。一部省略して紹介いたします。

まず、前川さんが前の席に座っていた学生さんの持ち物を指して一言、
「これは何ですか?」‐私のボトルです。



「どこで買ったの?」「他にもこのようなボトルは持ってる?」といった質問の後、
次のように続きました。

「中には何が入ってるの?」‐何も入って無いと思います。
「振ったら音が聞こえるから何か入ってるみたいだけど・・・」‐あ!昨日入れた水です。
「え!昨日の水を入れてたの!」

飛び石の上を跳んで進むようなやり取りの末、意外な事実の発見です。
真面目そうな学生さんに対する思い込みが解消され、教室は笑いに包まれました。
いざ事実質問をすると次が思い浮かばず、踏み留まってしまうことが多々あります。
トントントン、のリズムで聞けて、
トントントン、と相手も答えられるような、
そんな事実質問を出来るようになりたいと思いました。
トントントンと、事実質問をpractice practice practiceです!


(野片真美 ムラのミライ インターン)




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2018年6月19日火曜日

ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ / 序章 (p14~16)

 国際協力とは介入であるーーー
 介入の、その先に描く「理想」とはどのような姿なのか。

今回は『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』の序章、
14ページから16ページを公開します。

 *

改めて言うまでもないが、中田と私は、長年、いわゆる国際協力という分野で仕事を続けてきた。中田流の言い方をするなら、「援助屋」というやつである。中田が常に言うように、この「援助屋」という表現には、多少の誇りと自嘲(じちょう)がない交ぜになっている。誇りの部分は、人類社会の理想に向かって困難な状況の中で仕事をしているという自負であり、そして自嘲の部分は、果たしてそれが何らかの成果をもたらし、目標とするものに多少とも近づいているのかという根本的な疑問がちらつく、その自分の心の在り様の部分である。

だが、「誇り」の部分も人類社会の理想とは何だと正面切って問われれば、ぐらつかざるをえない。畢竟〈ひっきょう)、人類社会の理想とは、具体的にどんな社会を将来作ろうとしているのかということであり、その具体的な社会像が描けない限り、単なるお題目にすぎないからだ。われわれの自嘲の部分は、まさにそこにある。そして、このことこそ私たちの前著『途上国の人々との話し方― 国際協力メタファシリテーションの手法』では書けなかった部分だ。

国際協力とは、相手側の状況への介入である。特に、私たちのように、農漁村、都市のスラムなど、コミュニティ単位で係わることが多い場合、相手が現在置かれている状況を変えるという方向で係わる。もっと端的に言えば介入するわけだから、大いにこちらの価値観を持ち込むことになる。その場合、自分たちがどのような未来をめざし、それがどのような価値観に基づいているのかよくわからないなど、これはもう笑うしかない。

私たちは、村に代表されるコミュニティ(共同体)が抱える課題を解決する。解決する主体はコミュニティであり、私たちはそれを支援するという建前になっている。だが実際は、課題の設定もその解決方法も私たちが持ち込むものであり、したがって、文化も生活習慣も、そしてそれぞれ抱える課題も違うはずの世界各地の村で、どこも似たようなプロジェクト、いやまったく同じ内容のプロジェクトを十年一日のごとく行っている。

その代表的な例が、農村で行われている貧困削減のための収入向上プロジェクトであり、大方は、何か商品作物を育てて売ろうというものである。その商品作物は、当該地域でもとから産出されていたものは希で、外から持ち込まれたものが多い。

外から持ち込むということは、すでにその作物を消費しているところを市場(しじょう)とするのであれば、新たにその市場に参入するということであり、当然ながら激しい競争に最初から晒されることになる。品質、流通経路などあらゆる面を開拓し、既存のシェアに食い込んでいかなければならない。


また、その作物を食べる習慣がなかったところを市場とする場合、消費者が日常的にその作物を消費するようにする、つまり市場を作り出す必要がある。また、作り出したところで、ある程度のボリュームになれば投機の対象になる。砂糖、カカオ、綿花、麻などの市場価格がどのように推移し、それに生産農家がどれほど翻弄されているかを見れば、それは明らかだ。それでなくとも消費者は飽きやすく、ある年もてはやされたものが翌年には見向きもされないなどはよくあることだ。

いずれにせよ、途上国の伝統的な村には、難題という表現でさえ控えめと言うほかない取り組みだ。単に商品作物を育てるという本来の農民としての取り組みのほかに、市場調査、商品の販売促進、コスト計算など、簡単に言えば会社の経営のようなこともやらなければならない。これを、長い時間をかけて学んでいけばできないことはないだろう。だが、プロジェクトの期間は通常三年から五年だ。プロジェクトが終了して外部者の投入(金銭的な投資のほか、技術的指導なども含む)がなくなった途端、作物の生産そのものがいつの間にか終わってしまうなどという例は枚挙に遑(いとま)がない。

(『ムラの未来・ヒトの未来-化石燃料文明の彼方へ』p14~16 より)




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