2015年12月29日火曜日

弾む会話の特効薬⁉ ファシリテーションだけじゃない対話型ファシリテーションの使い方

会話に詰まるな…
そんなときってありませんか?
そんな方に朗報です!!
(決して通販サイトではないので安心してください)

こんにちは!インターンの松本です。
今回は基礎講座から学んだ、私なりの対話型ファシリテーションの活用方法をご紹介したいと思います。
基本的に人見知りな私。
自分のことを話すのが苦手なので先手必勝!ということで相手より先にどんな話題を振ろうかと必死。
いつも話し終えると頭がクラクラ…な私ですが、先日の対話型ファシリテーションの基礎講座から
初対面の人とも会話に詰まらずに話を振り続ける糸口を見つけたのです!その糸口とは既にご存知の方も多いと思いますが、whenやwhereを使った事実質問です。

基礎講座では他の参加者とペアを組み、その人が身につけている一つの物に注目して数分間、事実質問をし続ける練習が2回もあります。
初対面の方とペアを組むのでもちろん緊張。
しかし質問していい項目や話題の入り方もある程度決まっていたのでそこまで気を張っていない自分。

指のサポーターについて「これは何ですか?」から始まり
「いつ買ったんですか?」「どこで買ったんですか?」

「へぇ~、指の骨の構造ってそうなってるんですね!」と
いつの間にか指についてレクチャーを受けていた私。
指って奥が深い。
頭は使ったけど、いつもより頭の中で話が整理されているような…

なぜ?と思った私は基礎講座を振り返って下の方法で話したから頭があちこち飛ばずに済んだのかと納得。

<話の組み立て方>
① 固定概念なしでそれが何かを尋ねる
② 時系列で思い出せるような質問をする
③ 特に気になった点を掘り下げる

この練習が対話型ファシリテーションとして成功だったのかどうかはさておき、対話型ファシリテーション初心者の私はまず話の組み立て方を学べました。

ファシリテーション以前に人との会話を弾ませたい!と思っている人も基礎講座に来て自分なりの話の組み立て方を見つけてみてはいかがですか?

インターン 松本侑子


もっと詳しく やり方を知りたい、という方におススメの書籍
対話型ファシリテーションの手ほどき」 (700円+税 2015年12月発行)

実際に練習してみたい、という方におススメの1,000円セミナー
メタファシリテーション入門セミナー」 (東京・名古屋・関西各地で開催)

2015年12月15日火曜日

脱・なぜ質問!!


はじめまして、ムラのミライでボランティアをしています金智子と申します。イギリスの大学院で平和・紛争・開発学を学び、昨年卒業しました。大学院在学中にファシリテーションやネゴシエーションのスキルを学びましたが実生活で活用できていない事に気付き、この講座ならと思い参加しました。
講座に参加し色々な発見がありました。その中でも二つの事に重点を置いてみたいと思います。

一つ目は、相手に質問する時に“なぜ”を使った質問をしない事。なぜなら“なぜ”を使った質問では事実を聞き出すことが出来ないからです。“なぜ”に対する答えはその人の感情や考え方がベースになっているため、その答えが事実である必要もない上、事実であるかどうか確かめるすべもないのです。講座の中でこの“なぜ”を使わずにひたすら相手に質問する、というロールプレイがありましたが、これが想像以上に難しい。さらに、普段の会話の中でいかにこの“なぜ”質問をしているかに気付きました。この日を境に家族や知り合いと話をする時はなるべくこの“なぜ”フリー質問をするよう、心がけるようになりました。最初はなかなかうまく行きませんでしたが、今では自然にとまではいかなくともかなりスラスラと“なぜ”フリー質問ができるようになりました。

二つ目は、相手の質問の仕方に敏感になった事です。ファシリテーターの役割は当事者から事実を引き出すことであり、答えを与えたり決定を下す事が役割ではありません。それゆえに、“誘導しない”と言うことがファシリテーターの一つのキーロールだと思います。例えばこれは実際に私が体験した事ですが、数ヶ月前、父親の看病のため病院に通っていました。そこでの看護師とのやり取りの中で、誘導されていると感じる事が多々ありました。つまり、選択肢を与えられその中から選ぶと言う、いかにもこちらに決定権があるようですが、実はそうではない。なぜなら、与えられた選択肢はすべてあちらの都合であり、あちら側のプランやスケジュールに支障のない程度に色々な選択肢が用意されている事に気が付きました。この様なやり方で支援機関の人間が途上国の人々に接しているとすれば、とても横柄で恥ずかしい事だと思います。

このファシリテーションスキル講座からたくさんの事を学びました。人道支援に携わりたいと思っている一個人として、とても大きな気付きを得ることが出来たと思っています。

ボランティア 金智子

2015年12月8日火曜日

ファシリスキルで娘がカタルシス!?


中3=受験生の娘がいます。

いよいよ受験本番。
隔週くらいで定期テスト、模擬テスト。忙しそうです。

私は自分の経験上「今日のテストどうだった?できた?」って親から聞かれるのがすっごくいやで、できれば「え?テストだったん?」くらいの無関心が心地いいというひねくれた中学生だったので、娘にもそのように接していたことがあります。
でも、自分がそうだからといって娘も同じ気持ちとは限りませんし、やっぱり、「あなたに関心があるんだよ」というメッセージは必要なものだなあと感じる出来事があり、いまはそのつど聞くようにしています。

対話型ファシリテーションを知らない当時は、やっぱり開口一番
「今日のテストどうやった?」って聞いてました。
答えは「普通」。
「割と出来たと思う」「勉強してたとこがぜんぜんでなかった」などの短いフレーズをいうのもおっくうだ、そんな気持ち、なんかわかります。会話ストップで、自分の部屋へひっこんじゃう。

今は、「どうやった?」のかわりに
「今日、なんの教科やったん?」
「時間って45分やんな?」
「プリントって表裏で1枚くらい?」
「席替えすんの?誰のうしろ?」
って、思いつくWhen What Where Whoの事実質問をするようにしています。
すると、娘はそこに座ります。
たくさん、話してくれます。
うーんカタルシス。

「時間、たりひんねん。問題多すぎ」って答えがあっても、もう「時間配分考えてさ、捨てる問題とか決めたら」なんてアドバイスしません。「何問くらいあるん?」「一問何分くらいかけられるん?」「試験の前に、今日の試験は何問ありますって先生教えてくれへんの?」って聞いていくと、本人、すごく考えています。うまく、気づきを促されているかは未知数ですが。

ただし、娘、対話型ファシリのこと、結構知っているので、私が事実質問をしだすと「きたな」
って表情をします。もしかしたら、あわせてくれてるのかも…?!


(ボランティア/日本語教師 吉田佐内

http://muranomirai.org/donation_nepal2015


2015年12月1日火曜日

かまどのショールーム


そこは標高2,000メートル弱に位置するネパールの山奥の村。20148月半ば、約1週間かけて周辺の村々を訪ね歩いた。目的は、過去に実施した森林組合による森林管理事業について、その後の様子を見に行くこと。

折りしも雨季の真っ最中。増水した川の中を歩いて渡り、ガスで曇る視界の中、雨で濡れて冷たくなった手を握り締めながら、村を回り、森や農地を村の人たちに案内してもらった。


結局のところ、森林組合による植林用の育苗や堰堤のメンテナンスは続いていたものの、共有林以外の私有林においては、見事に畑へと開墾されていた。今日の話の舞台は、その山の裏側、つまり森林組合に参加していないすぐ隣の村での出来事である。



「うちにおいでよ」と連れて行ってくれたお宅は、集落の中でも一番高い場所にあり、潅木の隙間を縫いながら、石を組んだ坂道を這い登るようにして、ようやくたどり着いた。
家に入ってすぐの処が調理場兼食事をとる場所で、調理場は綺麗に掃き掃除が終わっている。奥にかまどが見えており、その横にはガスシリンダーも置いてある。さらに、入り口近くの床から細いビニール管が出ているのが見えた。

一通り挨拶してから、
「これは何ですか?」とそのビニール管を指差して聞いてみた。
「これは、バイオガス用の管よ」と、その家のおかあちゃんが答えてくれる。「専用のコンロをここに持ってきてつなげると、調理できるのよ」
「へぇ、バイオガスですか。今日のお昼は、これで調理したのですか?」
「そうよ。豆カレーを作ったの」
「じゃぁこれは?」とかまどを指して聞いてみる。かまどの中には炭もない。
「見てのとおり、かまど。ただ、今はおとうちゃんと二人だけだからほとんど使わないけどね。」
「いつ使ったのですか?」
「この前のジャガイモの収穫期。子どもたち家族が手伝いに来てくれて、ここで大勢で過ごしたの。大人数のご飯を作るときは、やっぱりかまどじゃないと火力が足りないのよ」
「えっと、ここにガスシリンダーとガスコンロがありますけど、これは使えるのですか?」
「もちろん!バイオガスの火力じゃお米を上手く炊けないのよね。だから、お父ちゃんとの二人だけでも、お米はここで炊くの」
「すごいですね。ちなみにこのガスシリンダーは、どこから持ってきたのですか?買ったのですか?」
「これは、村の役場で薦められた所で、安く買ったの。バイオガスは、どこかのNGOが数年前に作ってくれて。一応、トラブルの時の窓口みたいなお店を紹介してくれたけど、まだあるのかしらねぇ?」 

このように会話は続き、結局のところ外の簡易かまども含めると、この家には4つも煮炊きをする器具が揃っていたのである。ただ、かまどを皮切りに、このお家の家族構成や息子、娘家族の暮らし(カトマンズに移住)、そして近隣の独居老人問題や、空き家事情まで判明したという、日本の地方のような事情に絡めとられたネパール農村が垣間見えたのだった。



ムラのミライ海外事業チーフ  
前川 香子


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→読み切り形式でどこからでも読める、メタファシリテーションの入門本。

  

2015年11月24日火曜日

ブログ記事募集 『備忘録』として使ってみてはどうだろう




ムラのミライが
「そこの、あなた!メタファシリテーションの実践例、ぜひ、ブログに書いてください!」
大募集している。

しかし、なかなか、集まらない、らしい。
どうして?←自問自答だから許して
うーん、やっぱり、文章を書くとなると、敷居が高いのかな・・・時間もかかるし・・・


ん?そもそも、実践をブログにUPするのって、だれのため?
りゃあ、成功であれ、失敗であれ、実践例がたくさん参照できたら、みんなの役に立つから!
アイディア集にもなるし、戒めにもなるし、実践のモチベーションにもなるんじゃない?

確かに。
でも、それなら、わざわざ「書く人」じゃなくて「読む人」でいいや~。

いや!ちょっと待って。
「書く人」のメリットもあるんじゃない?

それは『備忘録』として使うこと。
実践って、時間とともに忘れていくでしょ?
自分のために記録に残すっていうのは?
ひとりメタファシリにもなったりする。
「わー。記録してて気づいた。できないって思ってたけど結構できてるやん私」
しかも、誰かが読んでくれてるので、ときどきフィードバックももらえちゃうおまけつき。


どうですか?
『備忘録』としてブログに投稿してみませんか?
(ボランティア/日本語教師 吉田佐内




記事を書いてくださる方がいらっしゃいましたら、下記までEメールでお送りください。
送信先 info@muranomirai.org (担当:ムラのミライ関西事務所 宮下和佳)

2015年11月17日火曜日

ファシリテーション手法その3

以前ファシリテーション手順その2を投稿してから長い時間が経ってしまいました・・・。前回はIII: 一番最初(最近)にそれがおこったのはいつですか?時系列を組み立てる、IV 課題・問題の起点に遡るを紹介しました。いかがでしょう。ファシリテーション手法を日常生活の中に取り入れられていますか?質問をしている私(池田)も、実はあまり実践できていません・・・(あまりってどれぐらいと聞かないでください。)家族や友人に頼んで相手になってもらわねばと思っています。
では、前回に引き続きファシリテーション手法をご紹介したいと思います。

V:解決方法を探る(1):自己の類似体験の追跡にこだわる
解決方法を見つける際に有効的な質問は「同様な問題を以前にも解決したことがありますか?」です。例えば「以前も漁獲量が減ったことはありませんでしたか?もしあったとしたら、どう対処しましたか?」と問います。どこまでをもって「類似」と呼ぶことができ、相手に類似体験を思い起こさせることができるかは難しいところですが、これは場数を踏むしかありありません。先ほどの漁獲量だと「今まで飲み水が少なくなった時、どうしましたか?」と問うことで、相手は何か解決策を思いつくかもしれません。書籍「途上国の人々との話し方」に書かれている具体例をみてみましょう。

講座の受講者同士で練習した際のことだ。

受講者Cさんは、数ヵ月後にはNGOスタッフとしてラオスに赴任することになっているのだが、ラオス語の勉強がまったくはかどらないことを自分の問題として挙げた。聞き手は、しばらく聞きこんだ後、次のようなやり取りを始めた。
「他の外国語をマスターしたことはありますか?」
「英語はそこそこできます」
「学校で勉強したのですか?」
「基礎は学校ですが、会話は仕事の傍ら、独学しました」
こう答えたところで、Cさんは「英語をやった時のように、ラオス語もやればいいのだ」と気付いたのだった。傍から見れば、実に単純なことなのだが、Cさんによれば、学生時代からずっと学んできた英語とまったく新しい外国語であるラオス語を、自分の頭の中では同列に据えていななかったので、以前の経験を応用することに思いも及ばず途方にくれていた自分にきがついたということだった。

VI:解決方法を探る(2):身近な他者の類似体験に学ぶ
当事者にも類似体験がない場合、身近で同じ境遇にある人や同じ問題を持つ人がいるかどうか聞きます。もしいるのであれば、彼らの問題解決方法を聞きだし当事者の問題解決に繋げます。
ある団体が行ったベトナムでの幼児の栄養改善事業サービスを紹介した過去の記事「見落としがちな解決方法」(2015210日)を参照下さい。

今回は解決方法の探り方についてご紹介しました。類似体験の有無、問題の解決方法を思い出すという、一見単純なことのように見えますが忘れがちです。問題の起点まで遡り、整理ができたら解決方法を探るため自分や他者の類似体験を思い起こし、具体的な解決方法をみつけましょう。
では次回の最終回ではVII:相手から質問があったらチャンスだと思えVIII:結論は絶対に当事者に言わせろ!をご紹介したいと思います。

ボランティア 池田


引用 「途上国の人々との話し方」(p299305

2015年11月12日木曜日

「よ~く、よ~く、観察してみたら」

事実質問をスムーズに続けるコツのひとつに、「相手の立場に立って質問をする」というものがあります。ところが、これが私には難しく、すぐに質問が出尽くしてしまう、やり取りが行き詰まってしまう・・・ということが頻繁にあります。(むしろ、そういった撃沈体験がほとんどを占めています。)
例えば、今年春に受講したフィールド研修中に、介護に関わる人たちが集まる場づくりに取り組んでいる団体を訪問したときのこと。介護経験のある方を相手に質問の練習をしたのですが、相手が話していることの場面を想像するのが難しく、質問に詰まってしまいました。「私自身は介護なんてしたことがないし、祖父母はまだ元気で両親が介護をする姿もみたことがない。経験がないんだから想像しようがない!」と、内心、お手上げ状態でした。振り返りセッションの中で他の参加者(全員、私よりも年上)の感想を聞きながら、「結局、まだ私には人生経験が少ないから仕方がないのかなぁ。」と結論づけてしまいました。

しかし、最近ある人から、そんな状態から脱却するための大きなヒントをもらいました。
それは、話している人を、よ~く「観察する」ということです。
ヒントを得たのは、インドネシアのある村に、日本人の知人・Sさんと一緒に滞在した時のことでした。
その村には1年半ほど前から通っており、今年の10月にも休暇を取って数日間訪問しました。ただ、Sさんと一緒に滞在するのは今回が初めてでした。私は大学でインドネシア語を学んだことがあるため、村の人たちと会話をするのに、さほど困ることはありません。一方Sさんは、カタコトでのやり取りはできるものの、本人曰く「聞きたいことがいっぱいあるのに聞けな~い!」という状態だそうです。
そんなSさんが村で常にしていること、それが、「人をよく観察すること」です。
家の軒先などに集まっている村の人たちの輪に入っては、「この人とあの人は顔が似ているから、兄弟かな。」「この人とあの人はあんまり仲が良くないな。」「今この人、こういうことを言ってるんだろうな~。」などと、Sさんは常に色様々な予測を立てていると言います。そういったSさんの予測は、たいてい的中しています。また、私が彼女と一緒にいた場面でも、ほとんど通訳がいらない程に、その場でのやり取りを理解していました。
インドネシア語で質問ができない代わりに、観察力を最大限に駆使しているSさん。彼女の姿を見て痛感したこと― それは、自分が言語情報にのみ頼って、話している相手をまったく観察をしていないということでした。
もちろん、文頭の私が感じたように、自分自身が様々な経験を積み重ねて引き出しを多く持つことは、質問をするためにも重要なことだと思います。しかし、話している相手を本気で、よくよ~く観察してみると、相手が何を考えて・感じているかが何となく察しがつくようになってきます。そして、相手の気持ちになりきったり、「どんな質問なら答えやすいだろう?」という勘も冴えてくるような気がします。(まだまだ、以前よりも少しだけですが・・・。)

場所は変わって、ネパールでの出来事をご紹介します。
私は8月からネパール事務所に長期出張しているのですが、先日、ネパール人のおばちゃんとのやり取りのなかで、こんなことがありました。
以前、彼女の出身地の位置(ネパールのどの部分にあるか、カトマンズより北か南か東か西かというようなこと)について質問した際、答えてもらえずに退屈されてしまったことがありました。そこで、その時のやり取りを振り返り、彼女は「地図上で場所を捉えることには馴染みがない」ということに気がつきました。後日、彼女の喋る姿を観察してみたところ、「村をミニチュアに見立てて説明する」という方法なら話が弾むということを発見しました。そして、彼女が、家の中のテーブルや棚といった段差を見事に活用して話してくれるのに合わせて、私も身振り手振りを交えて質問をしてみました。すると、「家はこの辺りで、畑は家からこれくらい登ったところにある。家畜を離しているのはこの辺り・・・。」などと、こちらが聞いていないことまで、生き生きと語ってくれました。

「相手の立場に立って質問をする」とはこういうことかな?と、少し前進した気分になり、これからはもっともっと観察を大事にしよう!と思うのでした。




海外事業コーディネーター 近藤美沙子 (ネパール出張中)

2015年11月3日火曜日

感情的になっては事実質問はできない

先日、関西事務所のボランティアのひとりから「夫に事実質問をしようと思ったが、自分が彼に対して腹を立てていることに気がついたので、その日はやめて、翌朝、気持ちを落ち着けてからやったら、とてもいい対話ができた」という旨の話しを聞かされました。
なるほど、感情的になっていては事実質問などできるはずがありません。私が家族、特に妻に対して事実質問しようと思ったのにうまくいかなかった時は、すでに相手が感情的になっていて、私もそれに呼応してつい感情的になっていたからだということに、おかげさまで気付くことができました。事実質問を組み立てるためには、脳みそをフル回転させなくてはならないのですが、心が感情に支配されていては思考と観察に集中できないのは当たり前です。
相手が身近であるほど、そしてその課題なりトピックなりに自分の関わりが大きいほど、冷静になるのが難しいのが人間です。逆に言えば、利害関係のない第三者としてならば、冷静になるのがずっと簡単です。今更言うまでもないことですが、だからファシリテーターやコンサルタントは外部者のほうがいいわけです。
とはいえ、赤の他人相手に事実質問の練習をするのは、勇気がいります。初めの頃はどうしても身近な人相手に場数を踏む必要に迫られます。あるいは、身近な人の課題だからこそ、メタファシリテーションを使うことで解決を手助けしたいと願うのは当然のことです。
ですから、家族や親しい友人を相手にする場合には、まず自分が冷静になれるかどうかを自分自身に聞いてみて、感情を押さえられそうにないのであれば、場を改めて仕切り直したほうがいいわけです。そして、こういう態度が取れるためには、普段から自己モニタリングの癖をつけておく必要があります。メタファシリテーションの手法では、そのためには、私が今しようとしている質問は、相手の思い込みを誘発するようなものではないだろうか、つまり事実を聞く質問だろうか、と自分に常に問いかける癖をつけることで、自己モニタリングの姿勢が身に付くと教えています。
でも、それと同時に、自分は今感情的になっていないだろうか、あるいはこのまま行くと感情を抑えられなくなるのではないか、と自らに問いかけるのもとても大切なことです。本当はその判断も、自分がしている質問をよく観察することで可能になる、つまり感情的になっていれば事実質問の質が落ちるのですが、すでに感情的になっていたなら、そもそも冷静な判断ができるはずがありません。

事実質問云々に関わらず、いかに冷静に自分自身を観ることができるかが対人関係の鍵となるということです。当たり前だけど最も大切なこのことに、改めて気付かせてくれたその人に心から感謝しています。


イランで農民相手にインタビューする中田。こんな時はとても冷静になれるのですが…。


(代表理事 中田

2015年10月27日火曜日

講座レポート「まるで診察されているような感覚でした」


はじめまして。ムラのミライボランティアの佐野です。
大阪の大学院で「途上国の観光」について研究をしています。

来月から、とある途上国を訪れ、現地の人びとにインタビュー調査をする予定です。調査では「対話型ファシリテーション」が絶対に役に立つ!と思っていた私は、「対話型ファシリテーション基礎講座」に参加し、勉強させてもらっていました。(ムラのミライにボランティア、あるいはインターンで参加すれば、基礎講座に無料で参加することができます☆)

今回は、この「対話型ファシリテーション基礎講座」で私が見て、「面白いな」と思ったある事例を紹介したいと思います。

「対話型ファシリテーション」基礎講座、または入門セミナーでは、「対話型ファシリテーション」の理論や方法論を学んだあと、では、実際にグループを組んで、「対話型ファシリテーション」を用い、グループのメンバーが抱えている「辞めたい習慣」を解決しましょう!というふうに実践をして学ぶことができます。今回の講師、前川香子さんは、方法論を学ぶにあたり、わかりやすいたとえ話をしてくださいました。

『「対話型ファシリテーション」を行うときはWhy(なぜ)」は使わないようにします。
例えば病院の診察室で、患者さんが「お腹が痛いんです。」と言ってきても「なぜですか?」と聞き返すお医者さんはいませんよね。』
課題を発見する際に、「Why(なぜ)」を使ってはいけない理由がよくわかる、私の好きなたとえです。

さて、その日の基礎講座には、16名の方が参加されておりましたが、16人全員が「辞めたい習慣」をファシリテーターと共に話し合ったところ、実践時間が短いにも関わらず、解決までたどり着いた方が1名、おられました。

「失敗をすると、人のせいにしてしまう」という「辞めたい習慣」を持つのは、インターンで大学生のMさん。対する、「対話型ファシリテーション」を用い、Mさんの課題解決に挑むは、はるばる他地域からやってきてくださった、Kさん。

Kさん「今までの失敗事例を教えてください。」

Mさん「家で、洗濯物を置きっぱなしにしていたら、母に洗いに出すものだと勘違いされて、もう一度洗濯されてしまったんです。その服、着て行こうと思っていたのに・・・自分が出していたのが悪いのに、洗ったお母さんのせいにしてしまいました。」

Mさん「もう一つは、アルバイトでビラ配りの業務があったんですが、ビラをあまり捌けなくて。この時は、他にもビラ配りをしていたアルバイトの人たちがいいビラ配りの場所を取ってしまったからと言い訳していました。」

どちらも、Mさんは自らの行動を省みることができず、他の人に責任を押し付けて、逃げてしまったんですね。(Mさん談)
あります、あります、私もよくやります・・・。

Kさん「今までに逃げずにがんばったことはありましたか。」

Mさん「・・・大学の授業で、先生の話が全然理解できないことがあったんです!(いつもなら先生や他の人のせいにする?)でもその時は、理解できなかったところを、後で自分でインターネットを使って調べました。」

Kさん「では、この事例と、先の2つの事例、違いは何なんですかね。」

Mさんは、ふと考えて、すぐに気づいたそうです。(先の2つの事例では、服は別のものを着ればよかったし、アルバイトもそこまで自分に責任があったわけではないから、自分に害はなかったけど。けれど、授業が理解できなかったら、テストでいい点が取れなくなる!→単位落として最悪留年!!!後の事例には、自分に実害があるんだ!だから逃げずに頑張れたんだ!)と、頭の中でひらめきがあり、自己を客観的に分析し、自分の習慣を改める一歩を踏み出すことができたそうです。

Mさんはこの時のことを振り返り、
「まるで自分が診察されているような感覚でした。」
と言っていました。

何を隠そう、実際にKさんはお医者さんをされており、
お仕事で日常的に「対話型ファシリテーション」を実践されていたのです。

Kさんは今回、「医療以外の分野では、どのように人びと(Kさんの場合は患者さん)と
会話からよりよい関係を築く方法があるのか」を知るために、参加されたそうです。Kさん自身も、この基礎講座では、新鮮で興味深い学びを得られたと言っておられました。

冒頭で、私が途上国に調査をしに行くとお伝えしました。
「対話型ファシリテーション」を知らなければ、現地の人びとに
「なぜ観光客が来ずに、閑古鳥が鳴いているんだと思いますか???」とか・・・、
「なぜこんなに観光資源がないのに観光業に携わったんですか???」とか・・・!
こういったことを、絶対に聞いてしまっていたと思います。

前までは「私の調査から得るデータは正しいものとなるのだろうか?」「本当に、この調査に成果が出るのだろうか?」という不安がありましたが、今では「早く「対話型ファシリテーション」を用いて調査をし、途上国の人びとの実態を見てみたい!」と強く思うようになりました。

今回の学びを活かした、実りのある調査にしたいと思います♪そう思える基礎講座となりました。


(ムラのミライボランティア 佐野)


対話型ファシリテーション基礎講座の情報はhttp://muranomirai.org/category/trainingactive/trgjapanbasicから
(※ネパール、カトマンズでも開催予定です!)


11月の入門セミナー(名古屋・西宮)情報は下記バナーをクリック!
http://muranomirai.org/intro201511

2015年10月13日火曜日

恋は盲目

対話型ファシリテーションを勉強し始めて早4年弱。
何気ない普段の会話の中でも、この会話術を生かせないかと毎日のようにアンテナを張っている。
この1週間を振り返っても、会議と研修、家族との日常会話、飲み会での相談事など様々な場面で試してきた。
残念ながらこの場で紹介するような成功事例はないが、頭のスイッチを事実質問モードに切り替え、身につかせる事に意義があると思っている。

さて、今回は友人からの恋の悩み相談の実例を紹介したい。
“恋は盲目”と言うが、周りが見えなくなるそんな時こそ “見えてない” 部分を相手に気づかせる絶好のチャンスと思い、いつもアドバイスを欲しがるA君に私の練習台になってもらおうと事実質問で聞き込んでいった。
「Cちゃんの事が気になるんだけど、最近メールをしても返信が遅いし、どうしたらいいのかな」というのがA君の相談内容。

「Cちゃんと最後に会ったのっていつなの?」
という質問から始まり、3週間ほど前に私を含めた友人数名で飲みに行ったきり会っていないという事がわかった。
その時に話した内容、相手の返答や表情、他の友人との会話や、Cちゃんの持ち物や髪型などを、特別な質問をしたわけではなく、事実質問の基本、whenやwhereなどを使い事細かく聞き込んでいった。
そのうちA君から、そういえば! あっ、あの時は〜、などのフレーズが出てその時の様子をだんだんと思い出している事が、表情の変化からも見てわかった。 
「その時のCちゃんの服装覚えとる?」と聞いた時に、フォーマルな服装→そういえばあのとき金曜日だった→休日はカジュアルな格好→アウトレットでの買い物が好き、というとこまで思い出し、一緒に買い物行こう!という話をした事を思い出しA君の顔がニヤつきはじめた。

その後、「返信が遅い理由」について聞き込んでいくと、Cちゃんは携帯からメールをしておらず、家にいる時にタブレットからメールをするという事がわかった。A君は、スマホからメールしているのになぜ返信が遅いのだろう、との思い込みがあったようだ。

話が長くなる為、会話内容をかなり省いたが、最後にA君が私に言った。
「おまえなんかすごいな!いける気がしてきたわ!」。
今回の会話では、気づきを与える事ができたというよりも、思い出させる事ができたのかなと思う。 ただ、最後まで提案を一切しなかった事と、事実質問によってその時の場面を鮮明に思いださせる事ができた、その2点が良かったと思う。

その後、Cちゃんと今週末買い物行く事になったよ!との報告をA君からもらった。メールの返信が遅いからデートに誘っても来てくれるかな、という最初の思いから、最後に会った時の事を思い出させる事によって、それが思い込みだと気づく。どうしたらいいのか、というヒントは私からのアドバイスではなく自身の過去にあり、それに気づいてもらう事によって行動にうつすことにつながった。
事実質問を使ってうまくいった事もそうだが、それによってA君とCちゃんとの関係が深まった事も嬉しく思っている。




認定NPO法人名古屋NGOセンター理事/ムラのミライ認定講師 松浦史典)

※ムラのミライでは、2015年11月7日(土)講師に松浦さんを迎え、JICA中部なごや地球ひろばにて対話型ファシリテーション入門セミナーを開催します。詳細情報は下記のリンクからどうぞ!



2015年10月6日火曜日

事実質問を鍛えぬいたやり取りの先にあるもの


カトマンズの北東部、ムラのミライのプロジェクト地域にあるMartyr’s Memorial Park8月のある日、この公園が実施するゴミ分別研修にソムニード・ネパールのディベンドラとウジャールが講師として招かれ、私も研修に参加させてもらいました。

研修に招いてくれたのは、この公園運営に関わっているスミ校長先生とビスタ理事、ゴビンダ校長先生。バグマティ川再生プロジェクトで一緒に活動している先生たちです。

今日は、そのなかのスミ校長先生から聞いた話をご紹介します。

スミ校長先生については、こちらをご覧ください→



「ゴミ分別研修をやる」とは聞いていたものの、公園のことも、この研修のこともあまり詳しく知らなかった私、休憩時間に二人並んでチヤ(紅茶)を飲みながら、スミ校長先生に質問してみました。

「今日は研修に招いていただいてありがとうございました。参加者のみなさんがとても活発にディベンドラさんともやり取りしていてびっくりしました!この研修に参加しているのはどんな方たちですか?」

「なるほど、この公園の会員やスタッフなんですね。ちなみに、会員になるにはどんな手続きをすればいいんですか?」

「今日の研修が6日間の研修の最終日だということですが、これまでの5日間はどんな研修だったんですか?」

などと聞いていくうちに、スミ校長先生がこんな話を始めてくれました。


「これまでの5日間の研修では、どういう植物を公園に植えるか、といった植林がメインでした。でも、私はゴミの分別についても取り扱いたいと思っていて。その希望が実現したんです。この公園はカトマンズの中心部からも近くて、絶好のピクニックポイントなんですよ。なので、夏(雨季)が終われば、ピクニックを楽しむためにたくさんの人がやってきます。当然、ポイ捨てされるゴミも多くなる。だから夏のうちからゴミの回収・分別に取り組みたいと思ったんです。」


「公園のオフィスでは、ゴミ分別ボックスの設置を提案し、1ヶ月前から試験的に導入しています。ゴミを分別したり、利用できる葉っぱを集めています。それにね、実家に帰るたびに、母に、自分がやっているゴミ分別について話してみたんです。そうすると、ある時から母が自分でゴミ分別をするようになったんですよ!」


彼女は、この話を伝えたかったのだろうと思います。私があれこれ聞かずとも、彼女は話をしてくれたでしょう。嬉しい体験や成功体験は、思わず誰かに話したくなりますよね。


さて、『途上国の人々との話し方』の中にこんな一節があります。

「行動変化とは、習慣を変えることだ。習慣を変えるにはそれまでとは違う行動を続け、かつその成果が実感できなくてはならない。そうして初めて習慣が変わってくる。」

(『途上国の人々との話し方』p.283より)


当事者が自分で考え抜き、課題解決のための行動変化を起こすこと。それを促すためのツールである対話型ファシリテーション。


スミ校長先生たちは、ムラのミライの研修を受けたことで自分が変わったと言います。

研修で考えたことや気づいたことを学校で実践してみて手ごたえを感じたからこそ、家庭でも学校の外でも実践し、他の人に広げようとしているのでしょう。

 上で紹介した一節を体現しているような、スミ校長先生たちの活動。


ムラのミライについて、いろいろな人から話を聞いていくうちに「なんだかこれはスゴイ団体かも!」と興味を持ち始めてから数年。

スミ校長先生の話を聞いて、事実質問を鍛えぬいたやり取りの先にあるもの、私がムラのミライを始めて知ったときに「なんだかスゴイ!」と思ったのはこれなんだということに改めて気づきました。

いつか、この「なんだかスゴイ!」を意図して起こすことのできるファシリテーターになりたいですね。
スミ校長先生
 
オフィスゴミ分別
(研修事業・海外事業コーディネーター 田中 十紀恵

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