2017年8月1日火曜日

青年海外協力隊の現場から~ゴミ今昔物語(後半)

前回の続きです。

台所は2階にあったので、急な階段をそろそろと登って一同移動。茶葉は他の生ごみと共に、ビニール袋ではなくプラスチック製のバケツに入れられていました。その横には、ビニール類のゴミがビニール袋に入れられ置かれていました。

M:すごい整理整頓されたキッチンですね。ゴミを回収車に持って行くのは誰か、決まっているのですか?

L:私です。

M:どのように回収車までゴミを持って行くのですか?

L:このバケツごと持って行くのよ。

M:ゴミを回収車に積んだ後、このバケツはどうするの?

L:家に持ち帰って洗って、またゴミを入れるのよ。

≪※細分化:この台所から収集場所まで、そして帰ってきてからの動作を聞く≫

M:ここにゴミがまだあるけど、今日は回収車来ましたか?

L:まだなのよ。こんな時間なのに。(この時10:30ごろ)

M:最後にゴミを出したのはいつですか?

L:2日前。

M:えっ、昨日は?

L:昨日は笛の音が聞こえなくて、持って行ったときにはもう回収車が行った後だったのよ。
(坂になっているこの地区では、主要道路に収集車が来た時に鳴らされる笛(ホイッスル)が、ゴミ出しの合図になる。坂の上の方に行くほど、笛の音は聞こえない)

M:それは大変でしたね、、、。2日前はどうやって回収車が来たことを知ったの?

L:お買い物から帰ってきたときに、たまたま回収車が来ているのを見つけたから、急いでゴミを出したの。

M:その時、ご近所さんにも知らせましたか?

L:えぇ、もちろん。

M:逆にご近所さんから知らされたことはありますか?

L:もちろん、あります。生ごみは毎日回収に来るけど、ビニールは日曜しか回収に来ないから、出し忘れると沢山たまって大変なのよ。(この時、各曜日の収集ゴミの種類を聞いた)

≪※問題への対処:地区のごみ問題で、夫婦あるいは他の住民たちが「決まった時間に収集場所にゴミを持って行けない」という状況に、どのように対処しているかを聞く。自分が相手だったらどうするだろう、という視点も≫

M:そうですよね、、、。じゃあこのプラスチック系のごみは、1週間分なのですね。こうしたプラスチックのゴミを減らすように、今まで何か取り組んだことはありますか?

≪※問題への対処:今は、ビニール袋のゴミに悩んでいる。というか、分別等々、外から言われ続けている。分別はしているから、出たゴミを何とかするのではなく、元から断つ(=ゴミを出さない)ために何かアクションを起こしたことがあるかどうか、経験を聞く≫

G・L:うーん、ないなぁ、、、。

L:今度お買い物に行く時に、何かバッグを持って行こうかしら。

M:それは良いですね!じゃぁ、お湯も沸いているし、どうぞご飯を食べてください。お邪魔してすみませんでした。
(ここで私はキッチンから階下に先に降りたのだが、Kさん始め他の人たちはまだキッチンに残っていた。そうしたところ、Gさんと引き続き以下のような会話があったらしい)

G:野菜とかはバッグでも良いけど、お肉や魚の時はどうしたら良いんだろう?

K:さっき話してくれたみたいに、昔はどうしていたんだっけ?

G・L:、、、、。そうか、昔はそれもビニール袋を使っていなかったね。明日から買い物に行くときは、家から袋を持って行くようにするよ!どんなの使ったか見せるから、明日また来て!

お礼を言って家を後にするとき、ガネーシュさんとラクシュミさんが、話を聞いてくれて嬉しかった、楽しかったと笑顔で言ってくれていたとのこと。




その後、1時間ほど地区の中を歩き回り、市役所支部に戻っての振り返り。
松浦さんチームともお互いのフィールドワークを共有し、市役所職員の方からも感想をもらった。





 

「こちらから答えを与えるのではなく、彼らが自ら解決策を思いついて、バッグを使うと宣言したことにとても驚いた。」

Kさん曰く、この職員自身も2年間ほどこの地区を担当しゴミ指導をしているが、昔(と言っても20年ほど前)は、そのような未舗装の道路で土壁の家が立ち並ぶ地区だとは知らなかった上に、彼らのキッチンや実際の家でのゴミ分別の仕方を目にしたことは、一度もなかったらしい。Kさん自身も、「今」のことは細かく知っているし、昔の事も聞いたことはあったけど、今回のように具体的な話を聞いたのは初めてだったとのこと。

家の立ち並び方、この都市自体の歴史からして、この地区も急激に人口が増えたことが分かるし、第一、ゴミ=プラスチック・ゴミ(ビニール袋ゴミ)は外から持ち込まれるもの。野菜くず等の生ごみは何千年もの昔から存在するが、微生物が分解する環境では、いつかは土に還るためそれをゴミとは感じない。ゴミと認識するのは、いつまでもそこに残り続ける物質である。

プラスチック・ゴミが「無い」(という認識を生んでいた)生活はいつで、どんな状況だったのだろう、と思って聞き出していったわけだが、このやり取りを聞いていた他の隊員からはこんなコメントももらった。

「いつこのお家を建てたのか、という質問の時には、講座で聞いた【時系列】を思い出したが、そんなに昔にさかのぼるの?とはっきり言って、驚いた。けれど、そこから紡ぎ出された会話を聞いていると、とても自然で聞いていても不思議じゃなかった。だからガネーシュさんもああいう「やってみよう」という言葉が出てきたのですね」

後日談としてKさんから聞いた話によると、この対話の数日後にラクシュミさんを訪ねていくと、買い物帰りのエコバッグを見せてくれたとのこと。意識の変化が行動の変化に結び付きました。

偉そうに解説まで書きましたが、現場でやり取りしている時には私自身、理論は頭から抜けて体で反応しています。今回はこういう対話になりましたが、同じゴミ問題でも対話の始まり方や流れは千差万別なので、あしからず。




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