2018年12月26日水曜日

「自分の意図どおりに通訳してくれない」そんな時には

2016年の冬のある日のネパール。
この時期、エコレンジャー養成研修を修了した地域住民が、近隣の村でゴミ減量をテーマにした研修を実施し、それをムラのミライ/ソムニード・ネパールがサポートしていました。 そんな、エコレンジャーたちによる研修で起こった出来事です。

研修のようす

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エコレンジャーに研修には、研修のモニタリングや、必要な文房具の貸し出しのためにムラのミライとソムニード・ネパールのスタッフが同席させてもらっていました。
事前に「11時に研修開始だからね」と言われていたので、私はソムニード・ネパールのスタッフKさんと一緒に、11時に間に合うように研修場所へ行きました。

ですが、研修開始時間の11時になっても人が来ません。
本日の研修講師のエコレンジャーAさんが、事前にやり取りをしていた村の人に話を聞きに行って戻ってきました。

Aさん:参加者たち、もうすぐ来るって言っているから、もう少しだけ待ってもらえますか?
(※補足:研修開始予定時刻から15分が過ぎると、研修はキャンセルにしようというルールを事前に決めていました)

私:村の人たちには何時にここへ来てねって言ったの?
Aさん:10時半
私:10時半?えー、私は11時って聞いたはずだったけど。では、遅れたのは私たちでしたか・・・ごめんなさい。
Bさん:いやいや、研修の開始時間は11時なんですよ。だから大丈夫。(※補足:Bさんはもう一人の研修講師)
私:え??
Bさん:11時開始って言ったら、開始時間には来ないでしょう?だから村の人たちには10時半って言っておいたのよ。そうしたらボチボチ集まってきて、11時にいい具合に開始できるかな…と。
私:で、10時半には研修実施メンバーの誰かがここに来てたんですか?
Bさん:いや・・・私たちも11時に間に合うように来たから・・・

そんなやりとりをしている間に、参加者が集まってきたので、研修を開始してもらいました。

Bさんが言っていることはとてもよくわかるんです。
日本じゃ子どものころから5分前行動を叩き込まれるけれど、ビスターレの国ネパールでは15分や20分くらい遅れるのは日常茶飯事。
でも、村の人を自分に置き換えたらどうでしょうか?
10時半と聞かされていて、時間通りに行って、誰もいなかったら?
「今日は研修がキャンセルになったのかな?」と家に帰るに違いありません。主な参加者は家事や子育てを担う女性たち。時間があるなら、家でやりたいことはたくさんあるでしょう。 私なら帰ります。
それはエコレンジャーのオバチャン達も同じはずだし、何より約束した時間に来るっていうことは、研修に参加する人たちへの最低限の礼儀じゃないかと思ったのです。

私:まー、エコレンジャーのオバチャン達の言うこともわかるけど、やっぱり10時半って言ったらその時間に誰かはスタンバイしてないといけないよねぇ。時間通りに行って、誰もいなかったら、自分だったら帰っちゃうよね。

と後ろでこっそりKさんにこぼしつつ、研修の様子を見ていました。

さて、研修終了後。Kさんを連れ出して、後片付けがあらかた終わったエコレンジャーたちのところへ行きました。彼女たちはある程度、私の話す英語(+つたないネパール語)もわかるのですが、念のためにKさんに通訳をお願いしました。 

後片付け。※写真は別の日に別のエコレンジャーたちを撮影したものです。

私:みなさん、今日もおつかれさまでした!今日は、研修のここが面白かったですね!導入のやり方を前回と変えましたか? 
(その後、研修の中身に関するやり取りが少し続く)
私:ところで・・・今日は村の人たちには10時半って伝えていたそうですね。
うーん、気持ちはとてもよくわかる。10時半って言っても始まるのは11時・・・ってあるあるですよね。でもどうでしょう?もし、みなさんが村の人たちだとして、聞いていた時間に行っても誰も待っていなかったら・・・どうでしょうかね?

すると、Kさんが先ほどの私の言ったことは訳さず、「10時半って言ったんだったら、その時間に来なきゃだめじゃないか」と言い出したのです。
(※補足:ネパール語は流暢に話せなくても、ある程度聞き取ることはできる筆者)

エコレンジャーのオバチャン達に、ムラのミライやソムニード・ネパールのスタッフが言うからではなく、自分に置き換えてみて「そりゃそうだよなぁ」と思ってほしくて質問をしたのですが、どうも、Kさんは私が回りくどく言っていると思ったらしいのです。 (さっき「時間どおりに来なきゃねぇ」と話していたからでもあります。)

結局、オバチャン達は少ししゅんとした様子で「村の人と決めた時間には行かなきゃね。次はそうします」と言ってはくれました。
(その時の気まずさは察していただければ・・・)

私は何と続けていいか迷って、とりあえず「時間のことは、そうですね。次はそんな感じでよろしくお願いします。研修はどんどん面白くなっていっているので、また次も楽しみにしてますよ!」と言って別れました。 
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いろいろ「質問がまずいんじゃない?」「そこでそんなこと言う?」などツッコミどころはありましょうが、通訳をしてくれる人が、(おそらくは)良かれと思って、いろいろ自分なりの解釈をつけて話してしまう…という出来事でした。

そうしてしまったのは、私がこの時、シンプルな質問にできていなかったからなんですよね。
例えば、和田さんがどこかの村にいって、通訳を挟んで村の人たちにインタビューをしているとき。とってもテンポよく会話が進んでいきますし、通訳の人が自分の解釈を入れる余地がないんですよね。

和田さんと村人との会話については、過去にこんな記事を投稿しました。
ネパールの村で見た、和田さんの神業ファシリテーション

質問のシンプルさの違いが一目瞭然ですね。。。
そういうところでも事実質問の腕が試されているんだなということを痛感した出来事でした。

ここまでの失敗談はないかもしれませんが、通訳を挟むと、うまいこと事実質問でのやりとりができないんだよなぁ、と私と同じようなことをお悩みの方。
もっともっと、自分が思うよりシンプルに質問してみることを試してみられるとスムーズにやり取りができるかも!?

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)

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2018年12月4日火曜日

子育てに使うメタファシリテーション講座@恵那 ビフォー&アフター

ブログを楽しみにしてくださっている皆さま、お久しぶりです。ムラのミライの原康子です。なんとも久しぶりのブログ投稿です。

ムラのミライでは2018年11月から講座をリニューアルし、「子育てに使うメタファシリテーション」講座も1回2時間の講座を、2回に分けて受講していただくことで、2ステップでじっくり学べるようになりました。

今回ブログでご紹介する岐阜県恵那市での講座は、リニューアル後初の「子育てに使うメタファシリテーション」講座でした。

2018年10月と11月、秋の観光シーズンがピークを迎え、世界各国、日本各地から訪れる人と観光バスでごった返す京都をしばし離れ、岐阜県恵那市に行ってきました。10月も11月も私が訪れるときはいつも快晴の恵那でした。

深呼吸とネパール・インド料理店のランチ割引券

恵那の駅に降りて最初にしたのは深呼吸。交通量の多い京都市内の空はいつもどこか灰色がかった水色、空気もいつも排気ガスの臭いがします。恵那の空は青く、高く、冷たく、かすかに木の香りを感じる空気は、深呼吸をする度に肺が喜んでいるような気がしてきます。

深呼吸しながら、ふと隣をみると、おばちゃん2人がネパール語で話していました。久しぶりにネパール語で話してみよう〜と(2016年までネパールにいました)、ネパール語の単語を駆使して、2人のネパール人のおばちゃんに話しかけました。

すると「知り合いに電話したいのに、SIMカードの残高がなくなってしまい、困っている。あなたの電話を貸して欲しい」という感じのことが分かりました。早速「この携帯を使ってください」と携帯電話を渡しました。しばらくすると恵那市内でインド・ネパール料理店をやっている、というネパール人の青年がおばちゃんたちを迎えに来ました。

別れ際、「私は以前、ネパールのカトマンズで、ネパールの人にとってもお世話になった。日本で困っているネパールの人がいたら助けるのは当然のことです」とネパール語で伝えたところ、ネパール人の青年は流暢な日本語でこう答えてくれました。

「そうですか、ネパール料理が好きですか。ネパール料理はおいしいです。お店にカレーを食べに来てください。はい、これは割引券です」

青年にもらったランチ割引券を片手に、しばらく「私のネパール語もまだまだ捨てたものではない」と感慨にふけっていると、私を恵那駅まで迎えに来てくださった方と会えました。

講座を受けるまえVS講座を受けたあと

恵那での講座は「子育て寺子屋ミチクサ塾」(以下略、ミチクサ塾)という団体のメンバー研修がメインでしたが、メンバー研修の合間に一般の参加者約20名を対象にした2時間講座も実施しました。このなかで、10月と11月のリピーターは6人。

連続2回講座の強みは、事実質問を実践した成果を参加者の皆さんから直接聞いて、「こういう場合はどうする?」という具体的な事実質問への置き換え練習が出来ることです。

2回目となった11月の講座は「10月の講座のあと、事実質問を実践した方からの報告」からスタートしました。以下は参加者の皆さんの声です。

・講座を受ける前の自分がどれだけ子どもの話を聴いてなかったか実感した。がんばって2,3の事実質問はやってみたが、事実質問だけで続けてゆくのは難しかった。でも、この1カ月間、子どもへの「なんで○○してないの?」は封印できたと思う。

・4才の息子は無口で「この子は自分のことを話したがらない性格なのかな」と思っていた。10月の講座で「エントリーポイント」のことを聞き、「息子が関心を持っていそうなことは何か?」を意識するようになった。ある日、絵本のタイトルを息子がつぶやいたので、がんばって事実質問に挑戦してみた。「(本には)誰がでてきたの?」「その子はどこへ行ったの?」「その後、何をしたの?」「その絵本を読んでくれたのはどの先生?」「どこで読んでくれた?」とゆっくり質問してゆくと、普段はほとんど話さない息子が、細かく本の内容や、本を読んだときの保育園の様子をどんどん話してくれた。あまり私に甘えてくることもない子だったけど、絵本の話をした後は、ずっと私の膝の上にのってきたり、手をつないだりして、とても嬉しかった。

・夫に「なんで早く○○の準備しないの?」と言うのをグッと我慢したつもりだった。でも「なぜ?」を我慢しただけで、実際は夫の自己肯定感を下げ、「はやく、はやく」と追い詰めるよう投げかけをしているのに気づいた。夫の自己肯定感を上げながら、「私は」を主語にして対話をする方法を他の参加者と考える時間があったのがよかった。まだまだ事実質問の引き出しが少ないので、今後も仲間と練習を続けたい。

・小学校の遠足の後に、娘が「帰りのバスで酔った」と言うので、細かく事実質問で聞いていったら、行きも、帰りもバスに酔っていたことが分かった。子ども自身も思い込みで話していることが分かり、「これが事実を聞くことでお互いの認識を一致させる、ということか!」と実感した。私からの「バスで酔ったこと」についての事実質問に答えた後、娘は私に聞かれる前に、どんどん細かく遠足であったことを楽しそうに話してくれて、しばらく話が盛り上がった。講座を受ける前の私だったら「バスで酔った」と聞いたら速効で、「なんでもっと早く酔い止めの薬を飲んでおかなかったの?!」と言うところだったが、「なぜ」を我慢して、娘を責めることなく、事実を聞けてよかった。


実践的な「実践ノート」を使ってみました

最初の講座(恵那の場合は10月)では、「事実質問とは何か?」「事実を聞けない質問を我慢すること」がテーマでした。恵那の参加者の皆さんの多くが、それらを実践されていたことが分かり、とても嬉しかったです。

2回目の講座では(11月)、「事実を聞けない質問」を「事実を聞く質問」に置き換えてみることがテーマでしたが、新しく「実践ノート」を使って、事実質問を使えた事例、使えなかった事例を検討しました。

恵那の講座参加者の皆さんと「実践ノート」を使ってみましたが、これが「実践ノート」という名前のとおり、とっても実践的でした。

これまで講座で使っていた事例のほとんどは、ムラのミライの講師が事前に準備したものです。しかし「実践ノート」で扱うのは、参加者の皆さん1人1人の実際のケース。「1度あることは2度ある、2度あることは3度ある」とはよく聞きますが、人にはそれぞれ対話のクセがあります。実践ノートに書かれた対話は、繰り返し起こる可能性が高いのです(それが事実質問を使わず、相手の自己肯定感を下げてしまうようなケースなら特に!)。なので、実践ノートを使って、「事実を聞けない質問」を「事実を聞く質問」に置き換えてゆくと、次にそのような場面になったときに、その人がすぐに使える、という点で、実践的なのです。

例えば「実践ノート」の項目のなかには、「事実を聞けない質問を我慢したケースを挙げてください」という項目があります。参加者の皆さんの思い出せる範囲で、「なんで○○したの?」「○○はどうだった?」という問いかけをグッと我慢したシーンを書き出してもらいます。書いたものを発表するうちに、“確かに「なんで○○したの?」とは言っていないけれど、「○○したらよかったのに〜」と相手の自己肯定感を下げるような言い方を繰り返ししており、自分の口癖がわかった”というケースもありました。

恵那での2回連続講座にご参加いたたいた皆さんから、11月以降のお話もぜひお聞きしたいです。どなたか、ブログに書いてもらえないかお願いしてみることにします。


実は、恵那の講座のことをブログでご紹介したかった本当の理由は、
・リニューアルした講座の宣伝をしたかった
・半年ほど、ムラのミライのMWさんに“ブログブログブログ”と催促されたていた
と思う方が多いかもしれませんが(それもアタリです)、大きな理由の1つはその「写真」です。


ミチクサ塾の太田礼子さんが撮ってくださった写真は、どれもあたたかく、ほんわかした空気が伝わってくるようで、私は太田さんの写真の大ファンなのです。太田さんの許可をいただいたので、これからたびたびムラのミライの広報にも登場するかもしれません。写真提供にご提供いただいた太田さんをはじめ、ミチクサ塾の皆さん、ありがとうございました。また恵那で皆さんに再会できるのを楽しみにしています。


原康子 ムラのミライ 研修事業コーディネーター)



*この記事でお伝えした2回連続講座は、「子育て寺子屋ミチクサ塾」の方が、京都から恵那までの交通費や講師謝金2回分を、いくつかの助成金に申請してくださって実現しました。「子育てに使うメタファシリテーション」講座は、各団体に合わせた研修企画(助成金申請も含めて)をご一緒に作ることもやっています。詳しくはこちらの「お問合フォーム」で。




子育てに使うメタファシリテーション講座 各地での開催予定はこちら

http://muranomirai.org/kosodate201802

 


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2018年11月27日火曜日

気づきをもたらす「たとえ話」の秘訣 観察・交流・そして・・・

みなさん、こんにちは。
今回もセネガルからお伝えいたします。

まだまだメタファシリテーション初心者の私ですが、セネガルでは幸運なことに、その生みの親である和田さん中田さんを始め、メタファシリテーションを自在に操る方々のそばで見聞きすることができています。

今回もセネガルでの研修や村訪問でのメタファシリテーションの場面から、ヒントになる!と思った技をご紹介したいと思います。

1例目

2018年7月の和田さんによる「モデル農家養成研修」での一コマ。

研修では、農業経営に関わる作物栽培の収支計算をしていました。研修生の唐辛子畑を例に、栽培に係るコストと生産高を計算し、そこから利益を割り出していきます。

「18,000フランセーファー」

これが生産高から費用を引いた月ごとの利益でした。

ここで和田さんが一言。
「あなたたちはタバコを吸いますか?タバコだと何箱買えますかね?」

すると研修生たちは、
「うーん、タバコか。1箱600Fから800Fするかな。そうだとすると・・・」
「お茶の葉だとどうかな。僕たち毎日飲むしね。一箱300Fだから、1か月だと10,000Fくらいかかっているな。」
 ・・・と、議論が盛り上がっているようでした。



2例目

同じく和田さんの研修。

土の中の水の動きを説明しているところでした。
「あなたたち、冷蔵庫は見ますよね?商店に置いてあって、スプライトとかファンタとか飲み物が入っていますよね。冷蔵庫を開けるとひんやり感じるのはどうしてだと思う?」

すると研修生たちはまた考え始めます。
そう、この問いかけによって和田さんは、研修生たちに考えさせ、空気や水は温度の高いほうから低い方へと動く性質があることを説明しようとしたのです。
 

3例目

今度は2018年5月に行われた、ムラのミライの前川香子による農家研修のモニタリングの場面でした。

「新しい井戸2つが欲しい。ムラのミライでは井戸作りの支援をしてくれないの?」
と、現場ではあるあるのお願いをしてきた研修生の一人に対して、香子さんが切り返しました。

「井戸が2つ必要というのは、どうやって計算したのですか?あなたの畑にどれだけの水が必要か分かりますか?」
研修生「はっきりとは分かりません。」

「結婚式でチェブジェン(魚の炊き込みご飯)を作るときには、ゲストに100人来るなら100人用。あるいは1000人来るなら1000人用って作るんですよね?」

香子さんはこの話によって、井戸の水も同じで、どのくらい必要なのか分からなければ、「ボール1杯分しかないチェブジェンを100人で分けるようなもの」、つまり「的外れな量」で計算してしまうということを説明したかったのです。


 

以上、3例をご紹介しましたが、ここでの共通点は「たとえ話」。
相手が分かりやすいように、いずれも相手の身近な例を使っています。そして、それが気づきを促すのに効果的なのです。

対話型ファシリテーションの手ほどき』(p.57)にもありますが、「普段から村人とやりとりをして」、あるいは普段から相手や相手が身を置く環境を観察し、それを身近な例として対話に取り入れることで、相手が気づきやすくなるとのことです。

上記の例では、和田さんは、村人が普段口にするタバコやお茶などを見て、あるいは商店に行ったときに冷蔵庫を見て説明に取り入れています。

香子さんは、実際にご本人が数日前に参加した、同僚の親戚の「結婚式」をヒントに分かりやすいストーリーを組み立てています。
これはやはり、普段から村人を観察したり、交流したりしないとできないだけでなく、相手に対する関心と、寛容と、何といっても愛がなければできない技だなと、私は後になってしみじみと思ったのでした。

相手に分かってほしい時には自分の説明に集中しがちです。
しかし、そこから少し冷静になって、私たちのいる全体の環境と話している相手に心を向けることによって、この「愛にあふれるたとえ話」は生まれるのだと思います。

たかが(例)、されど(例)。

この例一つが全体の対話を突破口に導くカギになるのかもしれません。
メタファシリテーションのそんな奥深さをまたまた実感した、お2人とのセネガルでの日々でした。


菊地綾乃 ムラのミライ 海外事業コーディネーター/セネガル事務所)




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2018年11月20日火曜日

住民主体の地域づくりを生むコミュニケーション、基本の基本

わが自治体も、地域づくり、地域おこしに取り組もう!
市民との協働で・・・地域資源を活かして・・・と、がんばって開いた住民参加型ワークショップ。
いろいろなアイデアが出た挙句「あとは事務局に」と言われて、逆に役所の仕事が増えてるんですけど・・・なんてことも、あるとかないとか。

「この行政依存、何とかしたいよね」
・・・でも、いったい依存させているのは誰?どうすれば、その構造から抜け出せる?

コミュニケーションという観点から考えてみるために、以前にムラのミライがインドネシアで実施した研修での一コマをご紹介します。

2016年3月、インドネシアのロンボク島で研修が開かれました。
主催したのは、インドネシアのファシリテーター・ネットワーク。
以前にJICAプロジェクトを通じてメタファシリテーションを学び、インドネシア各地で実践しているマスターファシリテーター達が6年ぶりに大集合し、フォローアップを兼ねた指導者養成研修を自ら企画・実施したのでした。
講師はメタファシリテーションの生みの親=和田信明。研修参加者は、NGOや国際機関・行政など様々な組織で、あるいは独立コンサルタントとして、コミュニティ開発に携わるインドネシアのファシリテーターたちです。


初日、各自の近況をシェアした後、講師から参加者へのこんな質問から研修がスタートしました。
 

講師  村人が「定期的に貯蓄なんてできない。ビンボーだから」と言ってきた。何て答える?
参加者 「なぜですか?」
講師  ちがう!
参加者 「いちばんお金のかかる生活必需品は何ですか?」
講師  ちがーう!
参加者 「今日は何を買いましたか?」
講師  うーん、悪くないけど・・・ちがう!
・・・
参加者 「ビンボーって、どういう意味?」
講師  その通り!これ、6年前に教えたぞー。覚えてるか?
参加者一同 (異口同音に)ハイ、覚えてます!
講師  ウソついてるだろ!
(一同爆笑)

以前のプロジェクトを通じて既に和田からイジめられ・・・いえ鍛えられてきた参加者たち。ぐりぐりとイジめられるのが楽しくて仕方がない様子(笑)


講師  じゃあ、続き。「ビンボーって、どういう意味?」って聞いたら、相手が「お金が足りないってことよ」と答えた。次に何て質問する?
参加者 「いくら足りないの?」
講師  そう。こう聞くと、答えられないことが多い。で、たとえばこう言ったりする。「精米機が必要なんだけど、お金がなくて買えないのよ」。そしたら、何て聞く?
参加者 「収穫期はいつ?」
講師  ちがう。
参加者 「どこで精米するの?」
講師  ちがう。
参加者 「(その精米機は)いくらするの?」
講師  そう。知らなければ、それは単なる願望。知っていたなら次に「○○ルピア足りないって、どうやって(いつ)わかったの?」と、さらに聞いていくことができる。

講師  この場面で、ファシリテーターの担うべき役割は何だ?
参加者 情報を橋渡しすること。
参加者 精米機が必要かどうかをふりかえらせること。
参加者 リアリティを見ること。
参加者 相手に考えさせること。
講師 その通り。質問を重ねていくことで、相手を考えさせる。相手が「そういえば・・・」と考え始めた時、物事のイニシアティブは相手のものとなる。考えさせることができず、こちらから答えを提供してしまったら、相手はずっとイニシアティブをこちらに求めてしまうことになる。依存関係ができてしまう。

その後も、次々と参加者に質問をつきつける和田。果敢に答えようとする参加者。

いみじくも、”ファシリテーターの役割は、相手に考えさせること”という原則通り、研修は展開していったのでした。



宮下和佳 ムラのミライ専務理事)

ティータイムに「次はどうやってあいつらイジめようかな…」とほくそ笑む講師


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2018年9月14日金曜日

村の成り立ちを洞察するためには・・・ 母袋で学んだこと2

岐阜県郡上市母袋集落で3日間に渡って開催された、地域づくり・地域支援のためのコミュニケーション研修
2日目の8月27日。私、インターン生の野片は3グループある内の1つに加えてもらい、グループの4人の参加者に混ざって研修に参加しました。
午後のグループワークの課題として与えられたのは、暮らしを分解していくということ。
食、水、エネルギー、交通、住、ごみ、教育、環境、などといった暮らしの項目を細かく細かく分解していくということ。分解する中で、どのような選択肢があるのかを知ること。


私たちのグループは「住」の項目を選び、メンバーの中の一人のお宅について、分解をしていきました。
-お住まいはどちらにありますか?
-いつから住んでいますか?
-そのお家はどうやって探しましたか?
-お家を探す際の検索ワードは何ですか?
-一緒に暮らしている人はいますか?
-何階建てですか?
-部屋は何部屋ありますか?
-リフォームする際、使用した木材は何ですか?
-木材はどこで入手しましたか?

この様に質問を重ねていきました。聞きこんでいく中で、家主の家に対する理想やこだわり、お家の使い方が徐々に明らかになっていきます。質問をする傍らで、頭の中では自分の住んでいる家についても考えていました。

-いつから住んでいますか?
私が高校1年生の時からだから、今年で8年目かな。
―家は誰が設計しましたか?
知らないなぁ。
―そのお家は誰が購入しましたか?
私の両親。
―お家は何で出来ている?
木造のお家だけど、建材って誰が選んで、どこから持ってきたのだろう…

同じ質問でも、私から出る答えは「知らない」ばかり。どのような選択肢があったのか、その中の何を選択して、今暮らしている家が存在するのか。私には何も見えてきません。

住居は両親の財産です。では、自分で選んで購入した、たった今着用しているボーダーのTシャツを分解してみるとどうでしょう。
―いつ購入しましたか?
4年前です。アウトレットモールで購入しました。
―具体的に何というお店か覚えていますか?
忘れました。
―誰がデザインしたのでしょう?
分かりません。
―どこで製造されましたか?
タグには「Made in China」と書かれているけれど…広い中国の具体的にどこだろう。
そもそも、布地や糸も中国で作られているのかな。タグには綿100%とあるけれど、
どこで採取されたのだろう。誰が素材を選んだのだろう。
縫製したのは誰で、その際にどのような道具を使ったのかな。
中国から日本には、誰が、どうやって、いつ、運送したのだろう。
販売店への入荷を決めたのは誰で、価格はどうやって設定したのだろう。


なんてこった。
自分で選んだTシャツについてでさえも、一度事実質問を用いて分解を試みると、私は何も知らないのだということに気づきます。
分解しきれないことに気づきます。

私がこのTシャツを買った際の選択の基準は、精々ボーダーであるということと、学生にとってもお手頃な価格であったということくらい。
私の持ち物に対して事実質問を繰り返す中で、思い出した一節がありました。(以下、「途上国の人々との話し方」より抜粋)

「事実質問の練習 その2→身の回りの「もの」を取り上げ事実質問を30考える
…ここで重要なのは、ひとつの「もの」や「こと」には、多様な側面があることに気づくことである。…事実質問を行うことは、物事の持つ多様な側面についての知識と各要素間の相互関係への理解を深めるために絶好の訓練になる。その積み重ねが、ものごとへの理解を飛躍的に高めてくれること、請け合いである
途上国の人々との話し方、pp274-276)

今回の母袋の研修で学んだのは、私は自分の暮らしを構成する要素を分解しきれないということ。
知らないということ。
講師である和田さんは、ムラの景色を見るだけで、そのムラが辿ってきた過程が分かるとおっしゃいました。
それが、一人前のファシリテーターだと教えてくださいました。
一人前になれるよう、まずは自分自身の生活を分解しきれるようにならねばと思います。
私の暮らし、身の回りのものごとへ事実質問をもっともっと重ねて、訓練していきます。




(ムラのミライ インターン 野片真美)




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2018年8月31日金曜日

地域おこしと対等感 母袋で学んだこと1 

8月26日から8月28日で開催された、「地域づくり・地域支援のためのコミュニケーション研修」。あっという間に終わった研修の帰り道で、一人で電車に揺られている時に真っ先に思い浮かぶのは、会場となった岐阜県郡上市、母袋集落の素敵なおっちゃん達です。
おっちゃん達は、何であんなにチャーミングなのだろう―――少しだけ振り返ってみました。


おっちゃん達は1日目の懇親会にも、2日目のBBQにも駆けつけてくれました。
BBQでは、自分で作ったというシイタケを日本酒と一緒に調理したものや、棒に刺して焼いたアユを沢山ふるまってくれました。BBQの後の二次会にも来てくださって、桃色と白色のどぶろくを、たんと飲ませてくれました。おっちゃん達の様子から、思い出したことがありました。「途上国の人々との話し方」の一節です。

「メタファシリテーションが人間科学に基づく手法を標榜するのは、人間という生物種に共通な心理と行動のメカニズムを重視するからである。つまり、金持ちだろうと貧乏だろうと、子供だろうと大人だろうと、都市のインテリだろうと無学な漁師だろうと、一皮向けば大差ない。つまり、同じ人間であるという対等感から常に出発することを旨としているわけである。同じ人間であるということから出発し、自分を相手に置き換えて考えてみる」
途上国の人々との話し方、p327より)
 


おっちゃん達から見た私は、23歳の何も知らない大学生。なのに、「おねえ」や「マミーゴ」と私を呼び、まるでずっと前から仲が良かったかのように輪に入れてくれる。

例えば、おっちゃんが食べさせてくれた、日本酒と炙ったシイタケ。
 -シイタケはいつ収穫したのですか?
 -シイタケはどこで栽培したのですか?
 -シイタケを収穫するときは、どんな道具を使うのですか?
 -シイタケの栽培を始めたのはいつですか?
 -シイタケの栽培方法はどこで学んだのですか?
 -日本酒と炙る調理法はどこで知ったのですか?
 -どの日本酒を、どれくらい使えばいいのですか?

このように事実質問をしていくと、私は何にも知らないということが分かります。
おっちゃん達はたんと食べさせてくれました。おいしいシイタケを作れること、アユを焼けることなんて何てこと無いかのように、気さくにおしゃべりをして、どんどん振舞ってくれました。私は生意気にも胡坐をかいて、輪に加わっているだけ。こちらが集落にお邪魔しているのに、最後には「よく来てくれたね、またおいでね」と言ってくれました。居心地の良い対等感を作ってくれました。

大学4年生の私。春に入学した1年生との会話を思い出しました。
1年生のころから専攻分野を何にするか考えたほうがいいよ―――
サークルだけに集中する大学生活は勿体ないよ―――
1年生のうちから大学の外でも繋がりを作ったほうがいいよ―――
などなど、求められていない提案をしたり、何かと「先輩風」を吹かせていたことを反省しました。おっちゃん達みたいな「気さくさ」とは程遠かったことを反省しました。


ムラのミライのスタッフの方たちの様なファシリテーターに早くなりたい、もっと勉強したい。そんな中、参加させて頂いたのが母袋でのフィールド研修です。
この研修を通して、目指すファシリテーター像がより具体的になった気がします。母袋のおっちゃん達に教えてもらいました。

おっちゃん達みたいな、目じりに皺のあるおばちゃんになりたいです。
おっちゃん達みたいな、他所から来た大学生にうんと美味しいものを振舞えるおばちゃんになりたいです。
そしておっちゃん達みたいに居心地の良さを作れる、そんなファシリテーターになりたいです。

次に母袋にお邪魔するときには、シイタケの美味しい調理法を教えてもらえたらいいなと思います。




(ムラのミライ インターン マミーゴこと野片真美)




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2018年8月17日金曜日

保育園での子どもの様子を聞く “注意力散漫”は本当に問題? 

みなさんはもう夏休みを取られましたか?
帰省、同窓会、旅先など普段会えない人と話す機会が多くなる夏休みは、事実質問を練習するチャンス。
ついつい聞いてしまいがちな「最近どう?」を封印し、いつ、どこ、だれ、何を使って、相手の「仕事」や「学校」での一日の様子を聞いてみると、新しい発見があるかもしれません。

今回は保育士をする友人Aに園での子どもの様子を聞いてみたお話です。
私の友人Aは、保育園で幼い子どものクラスを担当しています。
ある日保護者面談があり、子どもの様子を親から聞かれて「注意力散漫なところがあります」と答えたものの、自分が言った言葉にモヤモヤが残ったそう。
その時の会話は、以下のようなものでした。

<<保育士AとBちゃんの保護者との会話>>
保護者:「うちの子に何か問題はありませんか?」
A:「そうですね、みなさん心配されてそう聞かれるんですけど…。」
保護者:「先生を困らせたり、お友達に嫌な思いをさせたりしていませんか?」
A:「全然そのようなことはありません。あえて言うなら少し注意力が散漫なところがあります。でも成長の過程ですから、大丈夫ですよ。」
保護者:「そうなんですか、確かに家でもご飯を食べるときに落ち着いていなかったりします。保育園でも注意力散漫なんですね…。」
A:「保育園では、ご飯の時は席を立つことはないですよ。お家では甘えたいのかもしれませんし、あまり気になさらないでください。」
保護者:「そうですか…保育園では、席を立たないんですね。私が気をつけるようにします…。」と保護者の方は肩を落として帰宅したそうです。

でも、Aは自分が言った「注意力散漫」という言葉で保護者を必要以上に心配させてしまったことでモヤモヤが残ったそう。
そこで、「注意力散漫」について、保育士である友人Aと自分の共通理解をもつべく、事実質問スイッチを入れました。

<<保育士Aと私との会話>>
私「注意力散漫って、そのお子さん昨日もそんなことがあったの?」
A「そうそう、昨日の午前中もオムツ替えのときに、Bちゃんはきょろきょろしてばかりいて、なかなかオムツを履き替えなかったの。」
私「そうなんだ。朝の何時くらい?」
A「登園後朝の歌を終わったあとだから、9時30分くらいかな。」
私「どこでオムツを履き替えたの?」
A「教室の隅にある更衣室だよ。」
私「どれくらいの広さ?教室には何人いた?」
A「2畳くらいの大きさかな。子どもは10人くらい。」
私「9時30分に一度におむつ替えをしたの?」
A「ええ。みんなでおむつを脱いで、トイレに座って、新しいオムツを履くの。」
私「Bちゃんは、何番目にトイレに行けたの?」
A「Bちゃんは最後だったわ。他のお友達のオムツの柄を見たり、オムツを脱ぐのを応援したりしていて、ようやく脱ぎ始めたから。」
私「そっか。小さいスペースに子どもが集まることはあるの?」
A「朝と帰りの着替えの時だけね。帰りの着替えの時もBちゃんはお友達の着替えを見ていて、いつも最後になるの。」
私「お友達の一挙手一投足が面白いのね、うちの子もお友達が近くに来るとよく観察して出遅れるの。一昨日もそんなことがあった?」
A「うん、新しいクラスになってここ2,3カ月はそんな感じだったわ。でも他の子に迷惑をかけているほどでもないのよね。」
私「そっか、Bちゃんが着替え以外に注意力散漫だったことはあった?」
A「いいえ、着替えの時だけよ。」
私「昨日は着替えの後は何やったの?」
A「お歌とお絵かき。」
私「最近、お歌をうたっているときに、Bちゃんだけ別の場所に行ってしまったり、お絵かきの時に他のことをやって、注意したことはなかった?」
A「なかったわ。机に向かうと席を外すこともないし、集中力はある子なの。そうそう、積み木も一番高く積めるの。」
私「すごいね。他には注意力が散漫になることってあった?」
A「いいえ、お外遊びの時も年上のお友達ともすごく仲良く遊べるの。違うクラスの子でもすぐ自分から話しかけるから。」
私「じゃあ着替えの時だけなんだね。」
A「そうね、着替えの時は、近くにお友達がいて気になって遅くなっているだけなのよね。」

もし、わが子が「注意力散漫」と担任の先生に言われたら、私だって気持ちが落ち込みます。
ただ、そう答えさせたのは保護者側の「何か問題はありませんか?」という質問がきっかけでした。

そこで、事実質問で詳しく保育士Aの話を聞いてみると、Bちゃんの「注意力散漫」という状況がいつ、どこで見られる行動なのかが見えてきました。
そして、Aは、Bちゃんの行動が問題というほど、問題ではなかったことに気が付きました。

このように事実質問で相手と共通理解を積み上げることが出来るようになると、ちょっとしたひと言で誰かを必要以上に傷つけたり、傷ついたりする回数はグッと減っていきます。

山岡 美翔 ムラのミライ 理事)





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2018年8月10日金曜日

メタファシ基礎講座 事実質問で分かる その悩み、本当に困っている?

7月1日のメタファシリテーション基礎講座にて、数人のグループで自分の直したい習慣について話していたとき。聞き手はそれに対して事実質問をします。

聞き手は、その人が本当にその癖で困っているのか、直したいのかを確かめます。そのために、現在の状況や、理想像はあるのかなどを事実質問で聞いていきます。私は、時間や期限がギリギリな癖を直したいと話しました。

「最近それのせいで困ったことはありますか?」
「今朝です。この講座には間に合ったんですけど、家を出たい時間の10分前くらいにやっと起きて、身支度だけして15分で家を出ました。」
「間に合ったんだ笑 その前は?」
「水曜日の授業に10分くらい遅れました」
「今まで授業に遅れて困ったことある?」
「…ないです笑」

私は、自分の中で知らず知らずのあいだに区別していたことに気付きました。アルバイトやインターンなどには遅れたことがほぼない一方、出席は自己責任な大学の授業は、意識して急いだり遅れないようにしたりしていませんでした。本当に遅れるとまずいのかで急ぐかどうか行動を変えていて、ホンキで困っていて直したいと思っているわけではなかったのです。

また、それとは関係のない、方向音痴のせいで困ったことも、ギリギリな理由の一つにしてしまっていました。
東京で夜行バスに乗る時、時間に余裕を持って出発にも関わらず、迷って乗り遅れてしまったことを話した時、事実質問をされる中で、
普段知っている道ではほとんど迷うことは無い。知らない土地で迷って、早めに出発したのにバスの時間に遅れたことは、普段私が時間にギリギリなこととは関係ない、ということに気づきました。

事実質問を通して話を聞いて頂く中で、私はホンキで困っていない、直したいと思っていないことに気付いてしまい、すっきりしました。
今まで、努力をしてきたわけでもないのに、心のどこかでは遅刻してしまう自分が嫌で、もやもやしていました。いったい私は今ホンキで間に合いたいのか、そのための行動をしているか?ということを、これからは自分に事実質問をした上で、時間にギリギリな癖があると言わなくていいように、余裕を持って過ごしたいです。

(笠見友香 ムラのミライインターン=寝起きがとても悪く、目覚ましが鳴っても一時間以上寝続けます)



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2018年8月3日金曜日

あの時はどうしたっけ? 過去の似た経験を思い出してもらう

20187月、今年度のネパールでの活動について(※1)、ソムニード・ネパール(※2と打ち合わせるため、半年ぶりにネパールへ行きました。
滞在中に、これからソムニード・ネパールが一緒に活動したいと考えている村(ここではG村とします)のオバチャンたちと話をする機会を作ってもらいました。このオバチャンたちは、ソムニード・ネパールが実施した研修に参加した人たち。自分たちなりにゴミの分別を始めていますが、資源回収業者に回収してもらうため、ガラス片や金属を持ち寄ることのできる、資源回収スペースを作りたいと口々に言ってきました。
でも、気になったのは、回収場所を作りたいとは言うものの、何世帯が利用して、どのくらいの量のガラス片や金属を溜めておける場所が必要なのか…という答えが出なかったことです。ということは、ソムニード・ネパールとのあいだでも、そういう話はしていないということ。まずはソムニード・ネパールとオバチャンたちがここを明らかにしないと、これ以上は何も進まない。回収場所なんて言うとなんだか具体的に聞こえますが、何も具体的ではない。
たとえば、「新しいパソコンが欲しい」と思っていても、画面の大きさは?カバンに入る大きさがいい?OSは?メモリは?メールと表計算ができれば十分?予算は?色は?などなど、どう使っていくのかを考えていかないと、どのパソコンを買うか決められませんよね。



そこで、次の日、ソムニード・ネパールのスタッフ、ディベンドラとのミーティングの機会をもちました。まずは私と、実際に現場でオバチャンとやり取りをする彼とのあいだで共通理解を作っておきたかったからです。

私:昨日、G村のオバチャンたちの話を聞いていて、気づいたことはありましたか?
ディベンドラ(以下D):あそこは昔の人たちと新しく移住してきた人たちのとの間での衝突があって・・・
(私の心の声:え?昨日そんな話題は出ていたっけ?)
まぁ、それは昨日の話には出てこなかったけどね。
(私の心の声:言いたかっただけ?)

やや暗雲立ち込めるスタートでしたが、気を取り直して

私:ええっと、私は、話を聞いていて、オバチャンたちは、どのくらいの大きさの回収場所が必要かを、まだ具体的に考えていないし、オバチャンたちの間でも共有してないように見えたんですよね。

そこから、ちょっと話の矛先を変えてみました。

私:ところで。ディベンドラさん、DEWATS(分散型排水処理施設、※3)建設の時は、どうしていたんですか?
D:?
私:設計図を作る前になにか調べていましたよね。それは何でしたか?
D:利用する予定の人の数や、各家庭から排出される排水量を調べましたね。
私:ですよね。あらかじめ、村にどのくらいの人がいて、どのくらいの排水量があって…を調べてからDEWATSの設計図を書いていましたよね。何のためでしたっけ。
D:これを調べておかないと、適切な大きさのDEWATSを割り出せないですよね。
私:そうですよね!じゃあ、ゴミ回収場所も同じじゃないですか?まず、“利用する予定の人数”からいきましょうか。どうやって調べていきます?
D:なるほど、じゃあ、世帯調査を…
と、DEWATS建設の経験を思い出しながら、1年間の活動を組み立てていきました。

ここで過去の活動の話―村の人たちと、ムラのミライとソムニード・ネパールで取り組んだDEWATS建設のことを話題に出したのは、『途上国の人々との話し方』(※4)にも解説されている「類似体験について聞いてみる」をやってみようとしたからでした。
これまでも、いろいろな場で「類似体験について聞いてみる」ことを試してみたものの、「それはそれ、これはこれ」と言われ、何度も撃沈しましたが(実は、前日のオバチャンとの会話でも試して失敗しています)、今回は、「ゴミ回収場所を作る」というボンヤリしたアイデアから、一歩進む突破口が少しは見えたんじゃないかなという気がしています。
ただ、こうしてやりとりを振り返ってみると、私から何でもかんでも言いすぎていて、本当は「DEWATSもゴミ回収場所も同じ」とディベンドラに言ってもらえれば、なお良かったのですが。

今やっていること、議論していることになんとなく行き詰ったなーという時、類似体験を思い出してみると、案外するっと突破口が見つかるかもしれません。

(ムラのミライ事務局長 田中十紀恵)

2 ソムニード・ネパール:ムラのミライがネパールで活動するときの現地パートナー団体。
3 DEWATS(分散型排水処理施設):自然の力を利用して家庭排水を浄化し、川に流す施設。詳しくはこちらをご覧ください→
「でこぼこ通信第12号」http://muranomirai.org/dekoboko-12
4 『途上国の人々との話し方』p.316 「③解決方法を探る:自己の類似体験の追跡にこだわる」

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2018年7月13日金曜日

お悩み相談に必要なのってアドバイス?それとも・・・

「私、本を読むのが遅いんです。」
6月23日、西宮で開催された「メタファシリテーション基礎講座」にて。
昼食後、改めたい習慣について3人1組のグループで交互に聞いていった。1人が聞き手、1人は話し手、そしてもう1人はオブザーバー兼タイムキーパーだ。その際のルールは以下の2点。
 1.  事実質問だけを用いること
 2.聞き手は提案をしないこと
私、インターン生の野片は上記の悩みを打ち明けた。
この時、聞き手だった方は最近読んだ本を起点に、遡って聞いてくださった。
何を読んだのか、いつ読んだのか、どれくらい時間がかかったのか。
私がケータイでコラムやNAVERなどのまとめ記事を読むときはあまり時間がかかっていないことが突き詰められた。
やり取りを見ていた、ムラのミライ専務理事の宮下さんは1つ私にこう尋ねた。

「今までに本を読むのが遅くて何か困ったことや、人に迷惑を掛けたことはあった?」
私は自分の経験を思い返した。迷惑を掛けたことは無い。けれどもより早ければそれだけ良いと思うのだ。遅くて嫌なんです――とだけ、答えた。

すると宮下さんは私にこう問われた。
「他の誰かを見て、この人読むの早いな、すごいなと思ったことはありますか?」

この質問がトリガーとなって、心当たりのある光景が浮かんできた。
そうだ。あれは天気の良い昼下がりに、学校のテラスで本を読んでいた友達と話をした時のことだ。

「友達が何を読んでいたか覚えてる?」
宮下さんは続けざまに聞かれた。

友達が読んでいたのは、確か、卒業論文関係の小難しい本。話をした前日に、市立図書館へ一緒に赴き、彼女が借りていた本。たった一晩で、その本の半分を読み上げたことを彼女は私に伝えてくれた。それだけ夢中になったのだと。

それを話すことで、気がついた。問題は、本を読むスピード云々よりもむしろ、卒業論文に根ざしているのだと。私の卒業論文は、テーマも決まらず停滞中で、焦りや卒論を書き始めることすら出来ない閉塞感にうんざりしていた。彼女のように熱中して、そして早く情報収集ができたらいいのに、と感じたのだ。


「本を読むのが遅いんです」
これは問題のように聞こえて問題ではない。
宮下さんはまず、「遅い」とは何か、反対に私が理想とする「早い」とは何か、を細分化し明確にしてくださった。
次に、「本」はどのような本を指すのかについて、事実質問の中で明らかにされた。私の場合は「卒業論文関係の本」だ。

もし私が同じ悩みを友達に相談されたら、何と答えただろう。
それだけ丁寧に読んでるってことじゃない?――と、相手を否定しない様な当たり障りのないことを言っただろうか。
図書館で読んだら、すごく集中できたよ!――など、私の経験を元にしたアドバイスをしただろうか。
真剣に悩んでいる相手に、こちらの主観に基づく提案は全く響かない。必要なのは、事実質問を重ねていくことだ。相手の理想とは何か、それに対する現実は何か、細かく細かく聞いていくことだ。次から次に口から出そうになる提案を飲み込むのは難しい。事実質問をマスターした時はきっと、辛抱強い人間になっているのだろうな、と思った。一日でも早く近づけるように頑張ろう、と思った。


(野片真美 ムラのミライ インターン)



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2018年7月6日金曜日

聞き取りだけでは不十分?調査に必要なものとは・・・

6月25日にムラのミライ海外事業チーフである、前川さんが登壇された京都大学での
2回目の講義に参加してきました。今回はその後半をレポートします。前半では、私たちは言葉とそれに伴う観念といった「思い込みの眼鏡」を掛けていることに気づきました。

つまり、聞き取り調査だけでは村の現実に十分に近づけたとは言えません。

より現実を捉えるためには何が必要か。
そこで登場するのが「観察」だと前川さんはおっしゃいます。

多くの人が小学校で経験したことのある、ひまわりや朝顔の「観察」を例として挙げられました。皆さんは小学校でひまわりの何を観察されたでしょうか?

他の花とどのような違いがあるのか、種から花になるまでのスパンや成長過程、1週間あるいは1か月ごとの葉の枚数の変化、最終的な葉の枚数、サイズや高さ、気温、土、
水の量や質、等々。

偏に「ひまわりの観察」といっても、観察の対象と成り得るものは様々。ほんの数分の間であっても、上記のものが次々と並びました。

「観察」の対象や方法は目的に応じて多種多様です。期間の限られた調査では、何を、どこで、誰に、いつ、見聞きするのかといった明確な目的が不可欠であると前川さんは続けます。



道路の拡張工事を例に、調査についての理解を深めていきました。
6か月、あるいは1年、2年といった期間で、車の通りが頻繁でありながら一車線であった道路を拡張するといった内容の工事があるとします。調査チームのミッションは、工事によるインパクトの把握です。

前川さんは何が調査対象と成り得るかを問われました。
学生さんたちによって挙げられたのは以下の通りです。

   いつ -工事前、工事中、工事後のそれぞれに時点を置くことが出来る
   誰を -通りを利用する人々、通りにある店の経営者や従業員
   どこを-通りやその周辺の住居

そこで、一人の学生さんが「工事の前後を比較したライフスタイルの変化」と発言。
「ライフスタイルって何を指しますか?」と、前川さんはさらに掘り下げます。
衣食住、慣習、宗教観、職に家族構成、地域・・・。

学生さんたちが問いに答える中で分かったのは、

   ライフスタイル(一つの言葉)に結びつくイメージは人それぞれ


であるということ。つまり、一人ひとりが各々に思い描く「ライフスタイル」という思い込み眼鏡をかけているのです。




ライフスタイルの中で、食に焦点を絞ってみましょう。
食のスタイルを知るためにはどのような事実質問が出来るでしょうか。

例えば、道行く人にインタビューするとします。

   -もう食事はお済ですか?何を食べられましたか?
   -昨日は何回食事を取られましたか?
   -誰と食事をしましたか?
   -どこで食事をしましたか?

などなど。重ね重ね質問をしなければなりません。
ライフスタイル、その中の食1つをとってもこれだけの広がりがあります。
ひまわりの観察の例と同様、「観て(=観察)」、「聞いて=(聞き取りインタビュー)」、そして「知る(=調査)」ためには、何を調査するのか(=目的)を明確にすることが重要だと分かります。

「道路の拡張工事のインパクトを調査」、一見立派な目的に見える言葉のまとまり。
しかし、思い込み眼鏡(言葉)にだまされてはいけません。
どこで、誰に、いつ、何に対する、そしてどのような影響を探る必要があるのかなど、
1つ1つを明らかにする必要があるのです。

ハッキリとした目的という土台の上に、「観察」と「事実質問」。この3つが揃って初めて、調査の準備が整ったと言えるのだと学びました。
入り口にはたどり着けましたか?
道具は持ちましたか?
そして「眼鏡」は外しましたか?
自分自身に問いかけなければ、と思いました。




(野片真美 インターン=私は目が悪いので、眼鏡なしでは生活できません)



→ネパールでゴミ問題に取り組む人たちに会いに行く、フィールドツアー
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