2019年4月9日火曜日

1杯の紅茶から見えるネパール ースタディツアー参加レポート

 2019年2月に参加した「ネパール・スタディツアー」の様子の一部をお伝えしたいと思います。氷点下10度の北海道札幌市から、夏のような日差しが照りつけるネパールの首都カトマンズまで移動すること約20時間。トリブバン国際空港に到着した時の高ぶる気持ちは、今でも鮮明に覚えています。

 現地で、私が設定した調査テーマは「ネパールの人々の職業や業種」です。今回はツアー後半に訪れたデシェ村の食料品雑貨店でのインタビューのひとコマをご紹介します。

 ムラへ行く前には、いろんな質問の準備をしました。実際にどのような風景・場面でのインタビューになるのか、事前にはわかりませんので、30個ほどの質問を考えました。例えば、農作業場であれば、「今は何の作物を栽培しているのですか。」「この道具は何に使うのですか。」、家の中であれば、「今、一緒に住んでいる家族は何名いますか。」「今日の午前中は何をしていましたか。」といったような具合です。もちろんお店の場合の質問も考えていました。移動の車中では、期待と不安が入り混じりながら、過ごしていました。移動中に見えるムラの風景や、人々の様子も貴重なヒントになります。

 ムラに到着し、「今日はここでお話を聞きますよ。」と言われた場所は、なんと商店でした!まずは、販売商品の種類と店頭在庫の数量をざっと確認。

まずは店舗の様子を見学。質問のきっかけが見つかる場合も
 そして案内された場所は店舗裏の小部屋でした。
「おっ、ここは何のスペースなんだろう。ぜひ、質問してみよう。壁に掛かっている紙袋には何が入ってるのかな、気になるなぁ。」といろんな想像が脳内を駆け巡ります。そしてインタビューへ。
 最初は「今日、私たちが訪問するまでに何名のお客さんが来ましたか。」と質問しました。その後は「来店したお客さんは何を買いましたか。」「皆さん現金払いでしたか。」と話を続けたことで、少しずつ商売の全体像が明らかになりました。そこで、いよいよ小部屋について聞いてみることに!

私「このスペースは何の場所ですか。」
店主「ここは休憩場や作業場として使っています。でも、昔はここで喫茶店をやっていたんだ。」
私「そうなんですか(おっ、新たな情報だ。喫茶店についても、聞いてみるぞ!)。」
店主「そうそう。でもね5年前にやめたんだ。紅茶や砂糖の値段がどんどん上がって儲からなくなったんだ。20年前に2ルピーだった紅茶(1杯)の値段も、今や20ルピーになってしまった。」

 その後もやり取りは続きました。物価上昇の話に始まり、当時から現在に至るまでのムラの様子の変化等、いろいろな話が次々に出てくるではありませんか。特に後半は、私から質問する機会が減ったように覚えています。気が付くと1時間半が経過していました。

インタビューが始まると、あとは流れに身を任せます
 一番大事なことは、綿密な準備をしつつも、会話の流れに身を任せて、臨機応変な対応をすることです。デシェ村でのやり取りのように、ひとつの質問が触媒となり、突如として化学反応を起こすこともあるのです。

 帰国後は、ネパールの紅茶価格の変動について調べています。紅茶はネパールを代表する消費財のひとつです。紅茶価格の動向は、ネパールの歴史の縮図であり、経済・社会の変遷を捉えていくうえで、ひとつの補助線になるのではないかと考えています。この考えのきっかけとなったのは、現地でのひとつの事実質問です。シンプルな対話を積み重ねるメタファシリテーション。その奥深さを日増しに感じるようになっています。

(伊藤 慎時 北海道大学公共政策大学院)


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 対話型ファシリテーションの手ほどき




2019年4月4日木曜日

地震から事実質問へ ―ネパール・スタディツアー参加レポート


 中国の実家で地震を体感したことがなかった私は、昨年の9月に留学先の札幌で初めて地震を経験しました。安全のために何をするべきかがわからなくて、ただ家で揺れが終わるのを待って、近の避難所へ行きました。今までも当時の怖さをきっちりと覚えています。その後、次回の安全のために、耐震や危機対策に興味を持っています。
 今回、ネパール・スタディーツアーに参加して、首都のカトマンズへ行きました。
1日目に街やタルバール広場で壊された建物、2日目はバスネット村(※註1)で建設中の家をたくさん見て、「ネパールの地震」(※註2)について気になったので、詳しく聞こうと決めました。そして「ネパールの地震」について、34日目にウッタルバヒニやデシェ村でインタビューする前に事実質問を準備しました。

修復作業中のダルバール広場(カトマンズ)

 一番聞きたかったのは地震が発生した時の事実です。だから、最初に「どこにいましたか」と聞こうと思いました。簡単な質問から始まると、記憶を呼び出しやすいし、順調に進めば、「どこ」と聞くと、「誰といました」、「何をしました」、「何を見ました」、「何を感じました」を思い出して答えもらえると思いましたに、地震が発生した時に何を一番気にしたを知りたかったので、揺れがおさまった何をしたのかを聞いて、答えから分析したいと思いました。

【デシェ村のMさんの話】
私「地震が起こった時、どこにいましたか?」
Mさん「畑にいました。」
私「その後、家に帰りましたか?」
Mさん「はい、携帯で家族と連絡が取れなくて、家にいた息子のことが心配でした。」

【ウッタルバヒニのSさんの話】
私「地震が起こった時、どこにいましたか?」
Sさん「妹の家にいました。地震が起こったので外に逃げましたが、もう一度妹の家に戻り、家族の入院費や、ビザを申し込む書類を取りに行きました。」

これらの話から、地震が起こった時に一番心配したのは家族の安全と貴重品だとわかりました。また、地震への備えがなかったのではないかと気づきました。なぜなのか知りたかったので、次に「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか」と聞いてみました。

【デシェ村のMさんの話】
私「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか?」
Mさん「いいえ、教えてもらったことはなかったです。」

【ウッタルバヒニのRさんの話】
私「どこかで地震に関する知識を教えてもらうことがありましたか?」
Rさん「私の夫は、前に学校で勉強した地震対策を教えてくれました。家の中では重いものを下に、軽いものを上に置くように言っていました。でも、私はフォローしていなかったんです。」

デシェのMさんへのインタビューからは、学校で教えてもらえたのかどうかはわからなかったですが、Rさんの答えから、地震対策を教えている学校があることがわかりました。
地震を経験した今は、何か準備しているのかを聞いてみたくて、ウッタルバヒニの人たちに質問しました。

【ウッタルバヒニのSさんとRさんの話】
私「今、地震に備えて、何か準備をしていますか?」
Sさん「家族と丈夫な新築マンションへ引っ越しました。」
Rさん「重いものを下に、軽いものを上に置くようにしました。」

 デシェでは直接「地震に備えて、何か準備していますか?」とは聞かなかったのですが、「地震で屋根が壊れてしまって、トタンを支援してもらったんです。今でもそのトタン屋根を使っています」という話から分析すると、壊れた家の建て直しも終わっていなくて、次に地震が起こった時の対策にも十分に取り組めていないのではないかと考えられます。

レンガ造りの家

 今回は簡単な事実質問をして、答えから分析することの楽しみを感じました!
 最初に訪れたバスネット村では、「思い込み質問」(例えば:「ネパールの子供達は何歳から小学校へ行きますか」という一般化した質問)をたくさん使ってしまい、会話が進みにくいことに気づきました。
 でも、次に行ったウッタルバヒニ事実(その人の経験)を聞くと、インタビューされた村の人たちからどんどん話してくれるようになりました。地震が起こった時のことを教えてもらえたし、地震が次に来た時のための準備の必要性も認識しました!
 また、ウッタルバヒニでのインタビューで得られた情報を使って、次のデシェで質問すると、どんどん面白くなりました。例えば、ウッタルバヒニで、地震が起こった後に家には戻らずに、一時的に安全な場所へ避難していたと聞きました。地震の後は避難したかもしれないという情報がすでにあったので、次のデシェ村では「どこで、誰と、どのぐらいの間に住みましたか」といった質問を出せました。もし、もっと時間があれば、村の人から見ると、地震が起こった時に政府のどんな支援を得られたのかをもっと知りたかったです!
(蔡一諾 スタディツアー参加者)


註1:バスネット村、ウッタルバヒニ、デシェ:ムラのミライが2012年から2017年まで実施していたプロジェクトで一緒に活動した村の名前。スタディツアーでは、2日目にバスネット村、3日目にウッタルバヒニ、4日目にデシェ村を訪問し、話を聞かせてもらいました。

註2:2015年4月、5月に発生した地震のこと。

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2019年3月22日金曜日

ネパールのオバチャン達は忙しい


ナマステ!
今回は、私がネパール駐在中に出会った村のオバチャン達との会話から。
まずは3つのエピソードをご覧ください。
(ムラのミライの活動に関わってくれた村の女性たちを、ここでは親しみを込めて「オバチャン」とよんでいます。)

<エピソード1>
エコレンジャーのオバチャン達への研修の時の出来事です。
私「それじゃあ、今日はこのあたりにしましょうか。次の研修はいつにしましょうか?場所は今回と同じところでも大丈夫ですか?」
オバチャンA「そうね~、来週の水曜日はどう?」
オバチャンB「その日、ちょうどパンづくりの研修があって・・・私は行けないわ~」
私「あら、そうですか。じゃあ、その次の日はどうです?あいていますか?」
オバチャンC「ああ~その日はアナウンスの研修があって都合がつかないわ。」
「私も」「私も」とうなずきあうオバチャン達。
私「えっ、ここにいるみなさん参加しているじゃないですか!アナウンスの研修ってどんな研修ですか?」
オバチャンC「スピーチの方法を学ぶのよ。発声の方法とか、姿勢とか。」
私「へー、どこが研修を提供しているんですか?」
オバチャンB「自治体がやってるのよ」(・・・と話は続いていく)

<エピソード2
エコレンジャーのオバチャン達が各地で研修していた時のこと。研修後にちょっとした打合せのため、とある建物に入りました。
私「あれ?この建物は、おうちじゃないですよね」
オバチャンD「ここ、私たちがメンバーになっている女性グループの集会所の建物なのよ。」
私「おおー、そうなんですか。(山積みになっているサンダルに気づく)これ、なんですか?」
オバチャンD「このサンダル、私たちで作ったのよ!ほら、そこにミシンもあるでしょう。」
私「(サンダルを手に取りながら)結構しっかりした作りですねぇ。作り方は誰かに教わったんですか?」
オバチャンD「そう、研修を受けてね。これから販路を開拓していきたいんだけどね~」
私「じゃあ、これは販売用なんですね。あら、いろんなデザインがあるじゃないですか。」
オバチャンE「ちょっとトキエさん、試してみなさいよ!あら、これならサイズぴったりじゃない!このデザインだとクルタスルワールによく合うわよ~。」
(と周りから囲んでいくオバチャン)
私「(心の声:まあ、サンダルが欲しいと思っていたところだし)うーん、じゃあ一足もらいましょうかね。いくらですか?」
オバチャンE「ちょっとオマケしてあげる。200ルピーね。」

<エピソード3
先日、ネパールで開催したスタディツアーでの出来事。オバチャン達に案内してもらいながら、村を歩いていた時のことです。
道沿いにビニールハウスのトマト畑を発見。
オバチャンF「ここ、トマト畑なのよ」
ツアー講師H「へー、いつからここでトマトを植えているか知ってますか?」
オバチャンF5年ほど前かしら。ちょうどその時にトマト栽培の研修があって、その研修に参加した人が始めたのよ」
オバチャンG「私も参加したわ!」

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ここまで読んで、「うわー、このオバチャン達、いろんな研修を受けてるな~」と思った方、そのとおり!
何気ない会話ばかりではありますが、こういった話は他にもあって、まとめていくと
アナウンス、サンダルづくり、トマト栽培、他にもプラスチック包装を使ったクラフトづくり、クッションづくり、パンづくり、コンポストづくり、マイクロクレジット・・・実に多種多様な研修を受けているオバチャン達の姿が浮かび上がってきました。


クラフトづくりの研修の成果を見せてもらう

こういう話をしたオバチャンの顔を思い浮かべると、せいぜい10人くらいです。もっと多くのオバチャンに話を聞くと、もっといろいろな研修が出てきたかもしれませんね。
とにかく、オバチャン達は「女性のスキルアップ」や「収入向上」の名のもと、自治体やNGOが提供する多種多様な研修に参加していて、ムラのミライが実施していたゴミ処理に関する研修も、オバチャン達にとってはone of themの研修だったというわけです。
実は、ゴミ処理の研修もムラのミライに限らず様々な団体がやっていたりします。

ムラのミライの研修で地図づくり中のオバチャン達

食事の準備と後片付け、洗濯、掃除、親戚のお見舞い、女性グループの活動、仕事、そして上記のような研修への参加。ネパールで私が出会ったオバチャン達は、とても忙しい毎日を非常に精力的にこなしていました。忙しい毎日の一部をムラのミライの活動に割いてくれていたのです。

村を訪問すると、ニコニコと付き合ってくれて、「お茶でも飲んでいきな」と親切にしてくれるオバチャン達。
ネパールに駐在した当初は、彼女たちがとてものんびり日々を過ごしているように見えていたのですが、だんだんと、それが思い込みだったことに気づいていきました。
そう、ネパールのオバチャン達は、忙しいんです。

現場ではプロジェクトを進めることに手いっぱいになって、プロジェクトと関わっている部分でしか村の人を見ることができなくなってしまいがち。その狭い領域で「うまくいった」「うまくいかない」と一喜一憂する日々でした。
でも、ちょっとそこから視線をずらし、何気ない会話をしながら「ネパールの●●村に住む、◎◎さん」の暮らしのリアルが見えてくることで、村の人たちとの関わりがずっと楽しいものになっていきました。
こんなふうに、「個人の暮らしのリアルを見る」経験を積み重ねていくことが、村の人/NGOワーカー双方にとって、具体的で、ワクワクして、長続きする活動を組み立てていくヒントになるんじゃないかと、ネパールに住んでいた2年を振り返ってみて思うのです。

(田中十紀恵 ムラのミライ事務局長)






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2019年3月12日火曜日

村のミーティングをファシリテーション!?新人NGOワーカーの苦闘@農村開発プロジェクト その3

やっぱり読み返すだけでも、あの頃の冷や汗がよみがえってくる苦い経験ですが、インターンの笠見さんが「私ならばこう返す」と考えてくれました。
さすが、事務所で事実質問のツッコミを(たぶん)日々受けている効果がありますね。

まぁそもそも、質問自体がほぼ「なぜ」質問なのがダメなのですが、聞いてしまったらその後で、事実質問に置き換えていくしかありません。(それができていなかった当時の自分)

「Rural Development」というとても抽象的な言葉を理由として挙げてきた場合、聞くのはただ一つ。
「地図を作って、Rural Developmentが実現した村を、あなたはご存知ですか?」

笠見さんのパターン2に近いですね。
でも、ここは「習った」ことを聞くよりも「それを実行した/実現した」ことに関するAさんの経験を聞く方が、本人の思い込みを解くには効果的でしょう。
なぜならば、習った=知識であって、それについて詳しく聞いていってもふわふわと空中戦に突入する恐れの方が大きいです。

また、彼の村自体がまだRural Developmentを成し遂げていない(だから、そのために地図を描くと言っている)ため、彼自身はそれを経験したことが無いのはすでに分かっています。
そうすると、「Rural Developmentのための地図づくり」という、耳心地は抜群ですが、曖昧模糊とした目的のための単なるお絵かきは避けられるでしょう。
「何のために」をクリアにする

また、ここから更に「これまでに地図を作ったことはありますか?(Yesと言われて)その時は何の地図を作って、作った後にどのように使いましたか?」と質問を続けていきます。
そうやって過去の経験を分析していく事で、今回の「地図を作りたい」というアイデアについても、「これから何をしていくのか、そのために地図には何を書き込まなければならないか」ということがクリアになっていくのです。

実際に、和田さんやラマラジュさんによる研修が再開した時も、こうした地図の話になり、「色々と調べてきたけれど、山の上から麓までの全体図が分かるようにしなければ、今の川や森の状況も分かりづらい」からと、「山から田畑までの全体図を視覚化するための地図を描く」という事になったのでした。



そうしてメビウスの輪の問答から脱出し、一度地図を作ってみた村人たちは、やがて平面図では高低差や遠近が分かりにくいということを発見し、最終的には粘土でミニチュアを作り、それを基に植林や土壌保全活動を始めたのでした。


(前川香子 ムラのミライ海外事業チーフ)



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2019年3月5日火曜日

村のミーティングをファシリテーション!?新人NGOワーカーの苦闘@農村開発プロジェクト その2

前回のブログ記事を読んで、もし私が前川さんの立場だったら村人Aにどう質問すべきだったかを考えてみました。

会話の認識を、相手と自分で同じにするためには・・・。
村人Aは、Rural Developmentという言葉で知っていながらも、その村の発展のために、具体的にいつ誰が何をするのか、ではなく、概念としての知識を話すのみでした。一方聞いているほうは、何が本当に必要なのかを自分達で見つけて欲しいのに、曖昧な答えしか帰ってこない。

パターン1「地図には何の情報を書きますか?」
まず一つに、地図に何を書くのか。50年前と現在の植物の種類の変化なのか、はたまた小川や湧き水などの水量の変化なのか。「植物図鑑」を作ったことで何の情報を得られたのかを明らかにするためです。

パターン2「あなたはいつ、誰にRural Developmentを習いましたか?その際はどこかの村を訪れていましたか?もしそうならば、何をしましたか?」
村人Aがその知識を学んだ状況について。彼が習ったことと、実際の彼の経験に因果関係が見つければ、地図に書き起こす情報、そこから見える村の課題が明らかになるかもしれません。
現場で日々鍛えられていた頃の…
私はこのお話を読んで、インターンをしたり、国際協力をなさっている方のセミナーに参加したりしたとき、学校で得た知識との間でイメージの違いを感じたことが思い出されました。

授業で「開発協力」や「持続可能な開発」について学んだときは、「グローバル」に世界の問題、そして解決策を知ったような気持ちでした。しかし、実際世界のいろいろな国で活動されている方のお話を聞くと、水不足や貧困といった一般の問題の裏に、どの地域もそれぞれの性質、人々の行動があることを知りました。

机上での知識を持って目の前の現実を見るとき、事実質問は欠かせないと改めて思いました。

(笠見友香 ムラのミライインターン)





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2019年2月26日火曜日

村のミーティングをファシリテーション!?新人NGOワーカーの苦闘@農村開発プロジェクト その1

あれは私がまだムラのミライに入って2年目くらい、南インドの農村での自然資源管理事業が始まって10か月くらいのことでした・・・

当時は、村の人たちの生活圏だった森の中やその周辺にある植物について、村の人たちが「植物図鑑」を作り始め、そして50年程前と現在を比べて、土壌や小川、湧き水などがどのように変化してきたのか、そしてその間に、土壌や水に対して何か対処してきていたのか、ということを村で考え始めていた時でした。

村での研修のファシリテーターは、主に和田さんやインド人名ファシリテーターのラマラジュさんが務めて、私はもっぱら記録取りやお二人のサポートをする程度。なのに、ある日突然、和田さんもラマラジュさんも、用事ができて研修に出られなくなって急遽私が研修をすることになったのです。

30人くらいの村の人たちと、これまでしてきたことを振り返り、分かった事を共有していく中で、メビウスの輪となる会話が始まったのでした。

村人A 「今まで調べてきたことを、一度、地図に描こうと思います!」
前川  「それは良いですね。でも、(なぜ(Why)って聞いてはいけないから)地図作りは何のためにですか(For what)?」
村人A 「Rural Development(村の発展)のためです!」(自信満々に)
前川  「へぇ・・Rural Developmentって、何ですか?」
村人A 「村を良くすることです!」(嬉しそうに)
前川  「村を良くするって、どういう事ですか?」
村人A 「つまり、貧困が減って村が発展することで、Rural Development なんです!」(困った顔で)
前川  「えーっと・・・(汗だらだら)」




Aさんは、ムラのミライの事業をする前は、別のNGOによる「農村開発事業」でアニメーター(NGOスタッフの補助をする村人)として従事していたので、いわゆる「開発用語」を熟知していました。

この時、和田さんもラマラジュさんもいない研修で、ひよっこの私しかいない研修を助けようと思ったのか何なのか、率先して意見を言い、上記のような「NGOスタッフが喜びそうな単語」を並べてきたのでした。

皆さんの想像にも難くないでしょうが、他の村の人たちから醸し出される、同情のような視線や空気の痛い事・・・
和田さんも今でも「白鳥のように見えないところでもがいている」と聞いたことがありますが、この時の私はだれの目にも明らかにもがいていて、しかも溺れていたのでした。

さて、上記の会話を「メタファシリテーション」の基本の事実質問にするならば、あなたはどこをどう直しますか?

(前川香子 ムラのミライ海外事業チーフ)




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2019年2月19日火曜日

「保育園に行きたくない!」の、本当の理由とは

日常のここぞ、と言うときにとても便利な「いつ」を使った事実質問。
みなさんは、「何で」と聞かない事実質問で、相手のリアリティを知ることが出来た経験はあるでしょうか。
もし、とっておきのエピソードがあればメールやお会いした時に教えてくださいね。
さて今日は、保育園へ通う子どもに保育園に行きたくない「本当の理由」を聞いたお話です。

横で寝ていた子どもが、珍しく朝起きるなり「保育園に行きたくない!」と言い始めました。
「行きたくない時もあるよね。」と言うと、
「そうなんや、今日はお家で遊びたい気分なんや。」と答えました。
翌朝も、同じように目が覚めるなり、「保育園に行きたくない。」と言い始めました。
連日保育園を嫌だと言うことは珍しく、よほど嫌なことがあったのかと心配になり、今日こそは保育園に行きたくないと言う理由を聞かなくてはと思い、子どもを送り出しました。
その日の夕方は、保育園の友達と遊具で遊んでいて、いつもより帰りが遅くなりました。
夜ご飯を食べていた時に、子どもが
「明日は保育園休みたい」と言うので、思わず
「さっきまであんなに保育園から帰りたくないと言ってたのに、何で休みたいの?」
と言いそうになるのをぐっと堪えました。

以前に「何で保育園嫌なの?」と聞いて失敗したことが教訓になっていたからです。
その時子どもからの答えは、保育園は楽しくないから、ママがいないから、お家のおもちゃが好きだからなどと、言い訳ばかり。
それもそのはず。
何で嫌なの?と聞くから、子どもはその場しのぎの嫌な理由を並べただけという、Why質問の典型的なダメダメ質問パターンでした。
だからこそ、今回は事実質問で、本当の理由を聞いてみようと思ったのです。

さて、みなさんなら家族や同僚が珍しく
「会社や学校に行きたくない」と言ってきた時、どんな事実質問を投げかければ、相手が本当の理由を答えてくれるでしょうか。

実践できたえた技を、講座でお伝えしています

私は、保育園を休みたいという子どもに
「あなたがそんなに嫌ならいつでもお迎えに行けるよ。たとえば今日は、いつお迎えに来て欲しかったの?」と聞いてみました。
子どもはすぐに、
「お昼寝のときに来て欲しかった」と言いました。

私「そっか。家で寝るときは2人で一緒のベッドで寝るもんね。」
子ども「そうなんや。明日はお家で寝たいなぁ。」
私「寝る前?起きた時?どっちが寂しかったの?」
子ども「起きた時。」
私「そっか。他には寂しかったことあった?お昼寝の前は何してたの?」
子ども「寂しくなかった。〇〇ちゃんと遊んでたから、面白かったよ。」
私「じゃお昼寝のあとは何したの?」
子ども「お昼寝の時間が終わるまで、お布団で待ってた。」
私「そっか、待てて偉かったね。他のお友達より早く目が覚めたんだね。」
子ども「うん。目を開けておしゃべりしないで、待ってた。」
私「そうだよね、お家ならすぐに話せるもんね。お昼寝の時間が終わって、お布団を片付けたあとは何したの?」
子ども「先生と折り紙したんや。上手やから、すごいねって褒めてもらった!」
と話してくれました。



園での出来事を聞く会話のラリーが何度か続いたあと、子どもが
「もうすぐ鬼が来るかもしれへんから、心配なんや。」
とポツリ。
保育園では、今週から折り紙で鬼をつくる練習をしているそう。
そろそろ現れそうな鬼の気配を感じる季節に、お昼寝の時間が終わるのを一人静かに待つのは、いつも以上に不安だったんだなと、子どものリアリティを知ることができました。

それでは、今年も研修や講座でお会いできるのを楽しみにしています。
山岡 美翔 ムラのミライ 理事)



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2019年2月12日火曜日

抽象論にさようなら ワイワイ話せる会議をつくる質問

先日、環境再生保全機構さんが主催されている「若手プロジェクトリーダー研修」に招いて頂き、1日講師&アドバイザーを務めてきました。これは、地球環境基金から助成金を受けて活動しているNGO/NPOの若手スタッフが年に数回集まり、様々なテーマに関する研修を受講することで、実施中のプロジェクトをさらにブラッシュアップしていこうというものです。

今回は「合意形成」というテーマで、6名の方々が参加されていました。
限られた時間内で私から何をお伝えできるだろう・・・と考え、「研修翌日以降、団体内外の誰かと話しをする具体的な一場面で、今までとは違うやり取りになる」可能性がある質問を、研修生おひとり一つ持ち帰ってもらえたらいいな・・・という目標を立てていました。

研修の中で、各自が抱えている合意形成に関する悩みを共有し、アドバイスをするというセッションがありました。
その中で、ある研修生から、こんな悩みが共有されました。
「何度も会議やワークショップをおこなって団体の今後の方針について話し合うが、どうも具体的な話になっていかない。ある人は“会員の満足度を重視すべき”と言うし、ある人は“もっと多様なステークホルダーを巻き込んでいきたい”と言うし・・・なかなか議論が収れんしない」

ふむふむ。
これって、NPOに限らず様々な会議や打ち合わせの「あるある」かもしれませんね。
みなさんなら、この抽象論を、どうやって具体的な話し合い=地上戦に持って行きますか?

真面目な研修や会議も、時に笑いながら…

メタファシリテーションでは、課題解決に携わる当事者(たち)の経験を大切に、やり取りを進めていきます。
上記のような状況なら
「この会員さんは満足度が高いな・・・と感じた時のことで、ぱっと思い出せるのが何かありますか?」
「最近、会員さんに満足してもらえたな~と実感したことがありましたか?」
といった質問をしながら、“会員の満足度”という一言がどんなことを指しているのかということをお互いの実体験をもとに共有していくかな、と思います。
NGO/NPOの活動って、「志のあるメンバーが、同じ活動目的に向かってがんばっている・・・」はず、という思い込みがままありますが、実は言葉ひとつとっても、思い浮かべている具体的な内容がまったくすれ違っている、ということが起こり得ます。
シンプルな質問で互いの実体験を出し合い、「そういえば、あの時・・・」「こんなことがあったよ」と、ワイワイ話せる会議になれば・・・参加メンバーの経験を出し合う中で、それぞれの大事にしていることがキラリと光り、「あぁそこを重視してるんだね」と共通認識を持てるかもしれませんよ!



宮下和佳 ムラのミライ専務理事)




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2019年1月31日木曜日

あの時、別の聞き方をしていたら・・・?


ボランティアしてみようと思い立ち、ムラのミライの事務所で打ち合わせをしていたときのこと。
「お腹、空いたね」と、セネガルのバオバブ茶と屋久島の塩クッキーをご馳走になりました。
カメの形をした塩クッキーが入った箱には「屋久島の天日釜で炊き上げた天然塩を使用」の文字があり、それを見たとたん、突然10年以上前の記憶がよみがえってきました。

息子が小学生の頃、夏休みの自由研究で塩作りをしました。
沖縄に家族旅行に行く予定だったので、沖縄の海水と、近所の海(大阪湾)の水と、2つで塩を作って比べてみたら面白いなと思って息子に提案したのです。
沖縄の海の水をペットボトルに入れて持ち帰り、近所の海の水もすくってきて、それぞれお鍋で煮詰めて塩をつくりました。
すると沖縄の海水からは真っ白の塩、大阪の海水からはどす黒いグレーの塩が出来、あまりの色の差にびっくり!


息子は塩づくりの結果を模造紙にまとめました。私は、できた塩を学校に持って行って見せたら、みんなびっくりするよと言ったのですが、息子は嫌だと言って、私が何度勧めても持って行きません。
「ええー、なんで持っていかないの!?」と私。
「嫌だから」と息子。
「なんで嫌なん?」「嫌だから」
で話はおしまい。


















「あれはなんでだったんだろう?」
いまさらですが、22歳になった息子に聞いてみました。
「自由研究で塩作ったのに、学校に持っていくの嫌だって、持っていかなかったの覚えてる?」
「覚えてる」
「何が嫌やったん?」
「自己開示が嫌いな子だったから、そんな目立つことしなくていいって思った」

そっか、クラスで目立ちたくなかったのか。いや、塩で目立つって?

当時すでに親子のコミュニケーションはいまいちだったのに私は全く気づいておらず、思春期以降気持ちが大きくすれ違って、危機的状況がちょっと長く続きました。
もしあの頃メタファシリテーションを知ってたら、使えてたら、私の人生も彼の人生も、ほんのちょっと違っていたかもしれないな、なんて思いつつ、ムラのミライでのボランティア、始めます。

中川智子(ムラのミライ ボランティア)





               
→ネパールでゴミ問題に取り組む人たちに会いに行く、フィールドツアー
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